■由来に冨樫さんのお茶目さが隠されている『レベルE』

 冨樫さんの作品では、『幽☆遊☆白書』完結後の1995年にスタートした『レベルE』も、『幽白』同様にタイトルが後から決まった作品だ。

『HUNTER×HUNTER』6巻でのタイトル誕生秘話によると、企画時は1話完結型の宇宙人モノにするつもりだったことから、『エイリアン クライシス』と仮題をつけていたのだとか。

 しかしストレートすぎると指摘を受け、たまたまそのときに手元にあったレンタルビデオが海外ドラマ『レベル4』だったため、それをもじって『レベルE』にしたそうだ。ただ、「レベルエイリアン」のつもりでつけた「E」に、「エイリアンはAだよ」とさらなるツッコミを受けてしまったという冨樫さん。苦し紛れに「E.Tの方です」と言い逃れをしたという、なんとも個性的でお茶目な由来になっている。

■松本零士さんらしい美しさが詰まった『銀河鉄道999』

 最後は、1977年に巨匠・松本零士さんが生み出した『銀河鉄道999』を見ていこう。松本さんは、自身のペンネームはもちろん、タイトルやキャラクターの名前一つ一つに意味を込める。

『銀河鉄道999』もしかりで、2002年に発行された自伝『遠く時の輪の接する処』で、「999は1000に1足りない状態。大人になる一歩手前の鉄郎と重ね、未完成という意味を込めている」と述べていた。

 さらに、松本さんはかつて東京新聞の取材に「身の回りのものを質屋に入れ、漫画家になるまで帰らないという気持ちを持って東京行きの片道切符を買った」と語っていた。少年が鉄道に乗って宇宙の冒険に出る『銀河鉄道999』には、一人夢を追って遠い地へ旅だった松本さん自身の決意や希望が投影されているのである。

 思いつきのものから深い意味を込めたものまで様々なタイトルの由来があるが、やはり名作はタイトルのインパクトが強く読者の興味をそそる。由来がわかると、よりいっそう作品を楽しめるのではないだろうか。

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