■キュートな絵柄から大人っぽい絵柄に変化を遂げた中原杏氏

 最後に見ていくのは、2000年に『スイートレッスン』でデビューを果たした中原杏氏だ。中原氏の作品でインパクトが強かったものといえば、2004年に手がけた『きらりん☆レボリューション』だ。

 2006年にテレビアニメ化もされた『きら☆レボ』は、アイドルに恋した月島きらりが彼に近づくために芸能界に入り、アイドルとして目覚めていく物語。中原氏いわく、同作は読者に響く作品を考えて描いた作品で、きらりもみなに愛されるキャラを目指したのだとか。

 同作で中原氏が描いた女の子は、小学生向け作品らしくとにかく目が大きくキラキラしていた。縦長の黒目だけでなく白目の余白部分も多いので、キュートさが際立つのである。この絵柄が子どもたちの心を掴み、愛されたことは間違いないだろう。

 そんな中原氏が「絵をリフレッシュした」と明かしていたのは、2018年の『ひかりオンステージ!』である。このときの絵柄を見ると、目が丸みを帯び、ハイライトも細かくきらびやかに変化。また担当編集者からの指摘を受け、顔の輪郭もブラッシュアップしたそうだ。

 2020年の『はるお嬢さま、恋のお時間です!』では、クリッとした甘めの絵柄に変化。作品を見ると、今までよりも垂れ目で女の子らしさが増した主人公・宝来はるに対して、ユキナリこと藤原雪は切れ長の目でクールさが目立つ。二人のこの対比が、同作のあまあまなラブストーリーを引き立てている。

 時代によってトレンドの絵柄は変わるが、今回紹介した作品はうまく変化の流れに乗り、令和の現在でも常に新鮮さを見出している。読者に向けて常に最先端を探る点もまた、『ちゃお』がトップを走り続ける理由のひとつだろう。

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