■仮面はファッション…フル・フロンタル
「シャアの再来」と呼ばれ、オマージュを思わせるセリフもあり、また全く違う人物としての対比も描かれている『機動戦士ガンダムUC』のフル・フロンタルも、『ガンダム』シリーズの仮面キャラとして興味深い人物だ。
フル・フロンタル自身は、仮面を被る理由について、主人公バナージ・リンクスとの初対面時に「ファッションのようなものでな、プロパガンダと言ってもいい」と語っている。これは小説版『機動戦士ガンダム』で、シャアがホワイトベースのクルーに対して説明したことのオマージュだろう。
そういったメタ的な要素を除くと、特に抵抗もなく仮面を外し、その後も仮面に依存している様子はなく、ファッションとプロパガンダのためというのは、本当だと考察できる。
フル・フロンタル自身は、シャアの兄弟でもクローンでもないため、容姿をシャアに似せる必要があったというのもあるだろう。
顔の傷を隠した『機動戦士ガンダム00』のミスター・ブシドーに、老化していることを隠した『機動戦士ガンダムSEED』のラウ・ル・クルーゼなど、シャアとフロンタルを含め、基本的に物理的に何かを隠すための仮面である。
そう考えると、自分の気持ちを自分に隠す暗示として使用したカロッゾの異質さが目立つ。仮面に着目して、様々な思いをはせるというのも面白いものである。