4月11日は日本記念日協会のウェブサイトにて、「その他の記念日」の分類で「ガッツポーズの日」とされている。1974年のこの日、ボクシングの試合でガッツ石松さんがKO勝ち。そのときにとったポーズをマスコミが「ガッツポーズ」と名付けて日本中に広まったのが由来とされている。
人が何かを成し遂げて感極まった瞬間、思わずしてしまうのがガッツポーズだ。それは、これまでの苦労や努力が報われたからであり、見ている側もつい熱くなってしまう。
そこで今回は、スポーツ漫画で印象に残ったガッツポーズの瞬間を紹介していきたい。
■『SLAM DUNK』安西先生が小さくガッツポーズ
まずは井上雄彦さんによる『SLAM DUNK』(集英社)から。本作には数多く名シーンがあるが、安西先生のガッツポーズはかなり珍しい。
それは安西先生が感情を表に出さない性格で、良くも悪くも生徒たちをあたたかく見守るという姿勢だからだ。そのため、何を考えているのか良くわからない……という印象もある。
そんな安西先生が試合中にガッツポーズをするのが、山王戦での流川のプレーに心動かされた瞬間だ。流川はこれまで沢北に1on1で勝てずに、何度も得点を許すことに……。
このままでは駄目だと思った流川は、これまで頑なにパスを拒んできたのを止めて、赤木にパスを出すと決める。それを受け取った赤木が得点を決めたのに対し、安西先生がガッツポーズをしていた。
この選択の裏には仙道との1on1が関係していて、そのとき彼は「1対1もオフェンスの選択肢の一つにすぎねえ」「それがわからねえうちは おめーには負ける気がしねえ」と言われていた。流川はそれを思い出したのだ。そんな流川の成長や勝つための可能性が見えたからこそ、安西先生も喜びを爆発させたのだろう。
ワンプレーかもしれないが、試合の流れを大きく変える起爆剤になったのは間違いない。
■『はじめの一歩』千堂武士の勝利を確信してのガッツポーズ
次は、森川ジョージさんによる『はじめの一歩』(講談社)の千堂武士が試合中に見せたガッツポーズだ。
千堂は日本フェザー級王座決定戦でヴォルグと試合をすることになるが、テクニックでは明らかに相手の方が上。ことごとくパンチをかわされては反撃を許してしまい、6ラウンドまで一方的にボコボコにされて耐えている状態だ。そして、ついにダウンをしてしまい、ここで終わりかと思われた……。
しかし、千堂はヴォルグが足を引きずっているのを見てチャンスと考え、自らの得意技であるスマッシュの一撃に賭けようとした。そしてボディを撃ち込んで距離を詰めると、これまで見せてこなかった利き腕でのスマッシュを決める。
このパターンを予測していなかったヴォルグはまともに食らってしまい、大の字になってダウンをしてしまう。ここで勝利を確信した千堂が、高らかにガッツポーズをして見せた。
切り札を最後までとっておいて、ここぞという時に決められたからこそ、千堂は手応えを感じたのだ。これまでの試合展開をひっくり返す一撃でもあったので爽快感もある。
ボクシングはある意味命がけの戦いでもあるので、勝った時に本能で喜ぶのも当然だと思う。ガッツポーズの日の由来である理由もよくわかる。