■装甲から見る時代の背景や戦い方
戦闘において重要な役割を担う機体の装甲にも、シリーズによって違いがあるのだ。
「宇宙世紀」ではおもに“ガンダリウム合金”が使用され、アムロ・レイが搭乗したガンダムやその母艦を筆頭に、その後の多くの機体で使用された。
特筆すべき点としてはやはりその堅牢さで、だからこそガンダムは至近距離でザク・マシンガンを浴びてもまったくの無傷だったのである。その装甲に対抗するため時代の変化と共にビーム兵器の強化が進んだが、同時にガンダリウム合金の改良も進められ、軽量化やコスト削減などの変化が見られた。多くのシリーズからなる宇宙世紀においては、ガンダリウム合金の進化を知ることでも、その時代の背景が垣間見えるかもしれない。
「コズミック・イラ」の世界では、“PS装甲”(フェイズシフト装甲)を持ったMSが登場する。電流を流すと物理的な衝撃を軽減するという特徴を持ち、その電圧力によって装甲の色がさまざまに変化するのだ。そのため『SEED』では新型MSが登場した際、装甲がどのように色づくかを楽しみにしたものである。
実弾兵器に対して圧倒的な有用性を持つ上、重量による機動性を阻害しないというメリットがある。だが、前述したように『SEED』のMSは電力駆動が主であるため、エネルギー切れを起こすと衝撃への耐性が著しく減衰し、装甲の色が失われることで敵にピンチを察知されてしまうというデメリットもあるのだ。
装甲の堅牢さに頼りきりで敵部隊に深入りすると、エネルギー切れにより一気に形勢逆転されてしまうため、パイロットの腕と母艦との緊密な連携によってその真価を発揮する独特な装甲なのである。
紹介したように、「宇宙世紀」と「コズミック・イラ」には似た要素がいくつか見られるが、その本質は大きく異なり独自の世界観を創り出している。他のシリーズでも似た要素が散見されるため、ひとつの知識を持っているだけでも各作品の世界観を理解するための一助になるのではないだろうか。
そうして数珠つなぎにひとつずつ知識を深めていくうちに、いつしかあなたも『ガンダム』の世界観にどっぷりと浸かっていることだろう。