■L.C.L.に満たされたエントリープラグ『新世紀エヴァンゲリオン』
念じて動かす機体と言えば、『新世紀エヴァンゲリオン』の「エヴァンゲリオン」もそのひとつだ。
本シリーズは、庵野秀明氏を原作・監督とし、1995年から1996年にかけてテレビアニメ全26話とその劇場版が作られた。2007年からは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のシリーズ4部作が公開、2021年に完結した超人気シリーズだ。
ちなみに、EVA(エヴァ)は見た目こそ巨大ロボットであるが、正確にはロボティクスを応用した外部装甲型の人造人間だ。
EVAのパイロットは“エントリープラグ”と呼ばれるカプセル状のコックピットに乗り、頚椎から挿入されるかたちでEVAに乗り込む。コックピットの内部には“L.C.L.”と呼ばれる肺胞でのガス交換を可能にする液体が注入され、EVAはパイロットとの神経接続によりコントロールされる。
また、稼働状況はパイロットとEVAの“シンクロ率”により左右されるのも特徴だ。シンクロ率が低いとEVAは起動せず、シンクロ率が高いほど性能を発揮する。しかし、シンクロ率が高いとEVAのダメージがそのままパイロットに影響してしまうというデメリットもあった。
第20話「心のかたち 人のかたち」ではシンクロ率が400%までに達し、パイロットである碇シンジの肉体は自我境界線を失って量子状態になり、L.C.L.に溶けてしまうという事態になっていた。それほどパイロットとEVAは深くつながることで操縦されていたのである。
■ファーストガンダムの弱点もアレックスで解消
最後は、やはりロボットアニメの代表格である『ガンダム』シリーズのコックピットを押さえておきたい。
1979年放送の『機動戦士ガンダム』で主人公アムロ・レイが乗る「RXー78ー2」いわゆるファーストガンダムは、胴体部分にコックピットがある。このコックピットは“コア・ファイター”と呼ばれる、小型戦闘機兼脱出カプセルになっていた。
ファーストガンダムは、おもに左右のレバーとフットペダルを使い操縦する。また、カメラからの映像や、コンピュータによる追加情報を表示するいくつかのモニターは付いているが死角も多そうなものだった。
のちの1989年OVA作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場した「RXー78NTー1」通称アレックスは、その弱点をカバーするように“全天周囲モニター”と座席が電磁力によって宙に浮いている“リニアシート”が採用され、広い視野を確保できるようになっている。
ちなみに、作中の時系列でその後の時代となる『機動戦士Zガンダム』では、量産機であるハイザックのコックピットも“全天周囲モニター”と“リニアシート”であり、この世代のほぼすべてのMSに採用されていたようだった。
今回はロボットアニメの「コックピット」について紹介してきた。
コックピットでの操縦ではないので今回は除外したが、1972年から放送された『アストロガンガー』はロボットと人間が融合をし機体を動かす仕様であったり、また『ガンダム』シリーズの『機動武闘伝Gガンダム』では、ガンダムファイターと呼ばれる操縦者と一体になって動く“モビルトレースシステム”、さらに、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では、操縦者にインプラント機器を埋め込みパイロットの神経と機体のシステムを直結させる“阿頼耶識システム”が登場したりと、操縦システムは本当にさまざまだ。
このようにコックピットだけに注目しても、作品ごとの特徴が出ており楽しい。あなたはどのロボットのコックピットで操縦したかっただろうか。