
互いに技を出し切り言葉も尽くし、最終的にはシンプルな殴り合いとなる。こういった少年漫画のような展開は、ロボットアニメである『ガンダム』シリーズでも実は少なくない。今回は歴代の『ガンダム』シリーズの最終決戦で描かれた、ビーム・サーベルでの斬り合いやビーム・ライフルの撃ち合いではない、モビルスーツでの「拳と拳での殴り合い」の名バウトを紹介していこう。
■『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ニューガンダム対サザビー
まずは、1988年の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のクライマックスから。アムロ・レイの乗るニューガンダムとシャア・アズナブルの乗るサザビーによる一騎打ちシーンは、長い『ガンダム』シリーズの中でも屈指の名バトルである。
そんなニューガンダムとサザビーのバトルは、最終的にはモビルスーツ同士の殴り合いとなる。流れ的にもフルコースと言ってよいもので、まずは生身のアムロとシャアが殴り合い、その後モビルスーツへと乗り込み、弾薬を打ち尽くす銃撃戦。さらにビームサーベルでつばぜり合い、そして最後は相手の頭部を拳で連打し、脚部を蹴り潰す……。まさにお互いに死力を尽くして戦う名バトルだった。
物語としても、『機動戦士ガンダム』で出会ったアムロとシャアの因縁の決着という、宇宙世紀の最大の見せ場となっている。
トリッキーな戦術を多用するアムロと、キックやタックルなど肉弾戦を得意とするシャアとで、個性があらわれている。二人のセリフの応酬だけではない、拳での対話が行われたシーンだ。
■『機動戦士ガンダム00』でのガンダムエクシアリペアII対オーガンダム
テレビアニメ『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン最終話でも、主人公の刹那・F・セイエイが乗るガンダムエクシアリペアIIと、オーガンダムによる肉弾戦が描かれた。
互いに最接近した際に、オーガンダムがエクシアリペアIIの顔面に連続でパンチ。そして、それをエクシアリペアIIが掴み受け、背負い投げをするという場面だ。
最接近からの、距離を取って仕切り直しというごく一瞬の場面だが、互いに死力を尽くして戦う様子が格好良く、印象に残るシーンとなっている。
このガンダムエクシアリペアII対オーガンダムの戦闘シーンは、様々なメッセージ性を感じるものだった。
たとえば、シールドを捨てて、GNビームサーベルを両手持ちして構えるシーンは、初代『機動戦士ガンダム』で描かれたガンダム対グフの戦闘のオマージュのよう。顔面への連続殴打は前述の『逆襲のシャア』でのニューガンダムとサザビーのバトルのようでもある。
初期機体の改修型である「ガンダムエクシアリペアII」と、ソレスタルビーイングが初めて作った“物語の発端”とも言える「オーガンダム」との戦いであり、まさにクライマックスにふさわしい殴り合いだった。