今期の話題作となったTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』は、主人公が1986年の昭和と現在(令和)とを行き来するタイムスリップコメディ。昭和パートでは「昭和」のネタが頻発する中、主人公・小川市郎の娘である河合優実さん演じる純子を筆頭にした、「スケバン」姿の3人娘がかわいいと序盤から話題になった。
「スケバン」とは、不良少女グループのリーダー(番長)を意味し、1972年頃から一般でも使われるようになった言葉だ。1985年に放送された和田慎二さんによる漫画を原作としたドラマ『スケバン刑事』(フジテレビ系)が大ヒットし、「スケバン」が大流行。彼女たちの多くが長いスカートに派手な化粧、髪形は茶髪パーマか“聖子ちゃんカット"だった。
またそれらは女子キャラを主人公にした少女漫画だけでなく、少年漫画でも登場。強く、かっこよく、そして可愛い彼女たちが、多くの少年読者たちをメロメロにした。そこで今回は、40代から50代の読者には懐かしい、昭和の少年漫画に登場した"可愛い"スケバンキャラたちを振り返りたいと思う。
■男勝りな女子高生が挑む異色の格闘スポーツ
『聖闘士星矢』をはじめ、数々の大ヒット作を生み出した車田正美さんの『週刊少年ジャンプ』での連載デビュー作は、スケバン女子高校生・荒神山麗を主人公にした『スケ番あらし』(1974年)だ。
美人でナイスバディの麗は、女子高校生ながら得意のヌンチャクを太ももに装備しており、ひとりで数十人を倒すほどの強さを誇るキャラ。ある日、転校して来た美しい令嬢・綾小路静香がその財力で学園を乗っ取り、反発した麗はさまざまな嫌がらせや攻撃を受けるようになる。
本作の見どころに学園スポーツ対決が挙げられるが、なかでも印象深いのが、サッカー部を救うために試合に参加した麗が、ローラースケートでサッカーをする「ローラーサッカー」のエピソード。敵チームには静香が雇った外人部隊が参戦しており、高校生相手に本気でヌンチャクや四の字固めで攻撃するなどトンデモ展開も盛り込まれていた。
腕っぷしが強く男勝りの麗ではあるが、実は前述のサッカー部キャプテンに恋心を抱いており、彼の前では頬を赤くするなど可愛い一面を見せている。また、逆恨みする静香に対して、麗はお人好しな言動をちらほらするなど、全2巻では語り切れなかった二人の関係性をもう少し楽しみたかった。
余談だが、麗が着ている制服スカートはかなり短めで、そのため“パンチラ"も多かった。
■手癖の悪い美少女は大泥棒の血筋
次に取り上げるスケバンは、細野不二彦さんの『週刊少年サンデー増刊号』での人気作品『さすがの猿飛』(1980年)から石川美加だ。
1982年からテレビアニメ化もされた同作は、忍者を養成する私立忍ノ者高校を舞台に、転入生の猿飛肉丸の活躍を描く物語。肉丸はくノ一・霧賀魔子に惚れられるが、その恋のライバルとしてたびたび登場するのが、美人でスタイル抜群の、学校の不良たちを従える姉御肌の女番長・石川美加だった。
彼女は石川五右衛門の血筋で、盗みに関しては類まれなる才能を持つうえ、学校の成績は悪いが忍術は超一流。
そんな美加は学校の金庫からテスト内容を盗もうとするが、美加の親友でもある魔子が悲しむからと肉丸がその行動を阻止する。この出来事を切っ掛けに、魔子とは肉丸を巡って微妙な恋のライバル関係に。グラマラスな美加が魔子の前でこれ見よがしにアプローチするが、ちょっとした肉丸のやさしさに触れた際には少女らしい一面も覗かせていた。
そんな美加に新たな恋の予感が訪れる。美加は、女生徒に絶大な人気を誇るイケメン生徒会長・風間小太郎の弱みを握り舎弟にするが、陰ながら研鑽する彼の姿に心を動かされる。だが、その恋はなかなかスムーズには進まない。汗を流す小太郎にドリンクを渡そうとするも、「盗泉の水は飲まない」と断られてしまい、拗ねてしまうなど、ギャップのある姿がなかなか可愛い。物語終盤では、小太郎が美加の側にいたいと告白し、二人を応援していた筆者はホッと胸をなでおろした。