『ガンダム』宇宙世紀シリーズでは、「ニュータイプ」と呼ばれる存在が大きなカギとなっている。作中では「超能力者」のようにも扱われ、相手陣営を脅かすパイロットーー。作中で初めてその脅威と可能性を示したのは『機動戦士ガンダム』の主人公、アムロ・レイだった。
しかし、意外なところでニュータイプと思われるキャラクターが複数人いる。たとえば『機動戦士ガンダム』最終盤で、ホワイトベースに避難した子どもたち、カツ、レツ、キッカが姿の見えないアムロに脱出経路を教えているシーンは有名だ。明確に言及されているわけではないが、彼らがニュータイプとして覚醒したのでなければ説明がつかない。
そこで今回は、ニュータイプの片鱗を見せた予想外のキャラクターを3人ピックアップ。どのような活躍をしたのか、そのシーンを振り返ってみよう。
■アムロより早く素質を開花?友軍の死を感じ取る
『ガンダム』シリーズにおいて、もっとも有名なニュータイプはアムロ・レイだろう。1979年から放送されたアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公で、本作の終盤では他の追随を許さないほどの力量を開花させた。
しかし、そんなアムロよりも早くニュータイプとしての素養を見せたのが、ミライ・ヤシマだった。アムロと同じくホワイトベース隊に所属し、同隊では操舵手を務めた女性クルーだ。
彼女は、第24話「追撃!トリプル・ドム」でのワンシーンで、初めてニュータイプの片鱗を見せる。補給部隊に所属するマチルダ・アジャンがミデアで発進する際に「少し間に合わないかもしれない……」とつぶやき、「理由はありません。そう思えるんです」と予言めいたセリフを残す。
さらには、ハッとしたような意味深な表情で、マチルダの顔を見つめるのだ。その様子はまるでマチルダの死を感じ取ったようでもあった。事実、この直後にマチルダはガンダムを助けるために、ミデアで黒い三連星に突撃。壮絶な戦死を遂げる。
ほかにも予知や他者の存在を感じるなど、ニュータイプと思われるシーンが多い。パイロットではないため派手な活躍はなかったが、ニュータイプの素質は間違いなくあったといえる。
■ビット攻撃の気配を察知!兄の居場所を感じた女性クルー
『機動戦士ガンダム』には、ニュータイプと思われる女性がもう1人存在する。ホワイトベースのクルーで、ジオン軍エースパイロットであるシャア・アズナブルの妹セイラ・マス。セイラもまた、普通では考えられない行動をとっている。
第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」。終盤に向けて「ニュータイプ」という概念が徐々に浸透していくなか、敵パイロットのララァ・スンがモビルアーマー「エルメス」によるビット攻撃を開始。敵影が見えない攻撃によって連邦軍兵士は対応できずに撃破されていくが、セイラだけがビット攻撃を感知した。
また、ア・バオア・クーでの最終決戦では、アムロとシャアの戦いが激化。お互いに乗っていたモビルスーツを失い、生身の体で決着をつけようとする。セイラはその戦いを止めるべく、広大なア・バオア・クーで2人を探す。そして、兄であるシャアの思念を感じ取り、迷うことなく2人のもとにたどり着いた。
さらに、2人の戦いのなかで、すでに戦死したララァの思念が呼びかけてきた際は、セイラもそれを感じ取っている。シャアがニュータイプであることからも、セイラ自身がニュータイプである可能性は高い。