■やっと相思相愛になったと思ったら記憶が…『花より男子』
世界中で愛されている人気少女漫画といえば、神尾葉子氏による『花より男子』を思い出す人も多いだろう。本作は1992年に『マーガレット』(集英社)で連載が開始されて以来、「最も多く発行された単一作者による少女コミックシリーズ」としてギネス記録に認定されるほど人気を博している。そんな本作にも、記憶喪失のシーンが登場する。
『花より男子』は、平凡な女子高生の主人公・牧野つくしと、大金持ちの男子4人組“F4”のメンバーである道明寺司とのラブコメディを描いた作品だ。
ある日、NYから戻ってきた司。何者かの策略により、司とつくしは無人島生活でサバイバル生活を送る羽目になる。大変な目に遭うもののお互いの気持ちは深まり、司は二度とNYには戻らないと誓う。しかし、その後何者かに刺された司は後遺症から記憶を失い、つくしのことを忘れてしまうのだ……。
その後、つくしは司に対し一生懸命自分のことを思い出させようと努力するが、なかなか記憶は戻らない。それどころか司のことを狙う女子の策略などにより、司はつくしにかなり冷たい態度を取る。
堪忍袋の緒が切れたつくしは司に対し、思い切った行動を取る。結局このつくしの勢いある行動により、司の記憶は戻るのであった。ハラハラする展開に加え、最後は笑ってしまうオチがあるのも、この作品の魅力だろう。
今回紹介した“記憶喪失が起こる漫画”では、いずれもプリンスの記憶がなくなったあと、紆余曲折あり、最終的には記憶が戻るという展開だ。一度は記憶を失くしヒロインと別れそうになるものの、記憶を取り戻したあとはさらに大きな愛情でヒロインを包み込むプリンスの姿が描かれており、そのシチュエーションに読者はさらにドキドキさせられたことだろう。
現実にはなかなか起こらない「記憶喪失」だが、数々の名作のなかでは男女の恋の“スパイス”として描かれているのが印象的だった。