バトル漫画の実写映画において、主人公はもちろん、相対する悪役のキャスティングはかなり重要なポイントだ。際立った悪役がいるからこそその物語は魅力的になり、見せ場となるバトルシーンも一層盛り上がるからだ。
そこで今回は、バトル漫画実写化で稀代の悪役を演じた俳優たちを紹介する。彼らの迫力ある怪演に注目してほしい。
■ドクロの仮面の下は…『るろうに剣心』外印・綾野剛
1994年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、和月伸宏さんの『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー』。その高い人気から、2012年には実写映画が公開された。
現在までにシリーズ5作品が作られている本作では、主人公・緋村剣心を佐藤健さんが演じており、キャラクターの再現度や迫力の剣劇アクションなど、数ある漫画原作の実写映画のなかでも非常に評価が高い作品だ。
この1作目に登場した渋い悪役が、綾野剛さんだ。綾野さんはドクロの仮面と黒子のような衣装がトレードマークの殺し屋・外印役で出演している。
原作漫画の外印は57歳の老獪な傀儡師であり、特徴であるドクロの仮面も少しマシン的なデザインだった。それに対し、綾野さんが演じた外印は、老獪というよりは実力派の暗殺者という印象だ。ドクロのマスクも本当の骨に装飾を施したような、おどろおどろしくもより渋いデザインとなっている。
物語終盤での剣心と外印の殺陣シーンは圧巻の一言。笑いながらピストルを連射する綾野さんの不気味な演技、そして、短剣に持ち替えてのアクションシーンは、公開当時「早送りしているのではないか?」と憶測が飛び交うほどに素早く迫力があった。
最後は、とどめを刺さない剣心に対し「まだ勝負はついていない 戦え」と、最終決着を迫る外印。しかし、剣心はそのまま立ち去ってしまう。プライドを深く傷つけられた外印は、悲痛な唸り声を上げていた。このラストシーンの綾野さんの迫真の演技は、観る人に強烈な印象を残した。
■幕府転覆を図る鬼兵隊頭領『銀魂』高杉晋助・堂本剛
2004年から『週刊少年ジャンプ』で連載された、空知英秋さん原作の人気ギャグバトル漫画『銀魂』。SF時代劇というジャンルで描かれた本作は人気を博し、2017年に実写映画化を果たした。
実写版はカブト狩り篇と紅桜篇をベースに作られており、武装集団・鬼兵隊が幕府転覆を図ろうとするストーリーだ。そして、本作で色気漂う悪役・高杉晋助を演じたのが、堂本剛さんだった。
鬼兵隊総督の高杉は、幼少期に同じ寺子屋で小栗旬さん演じる坂田銀時や岡田将生さん演じる桂小太郎と学問や剣術を修めた仲。本作はこの三人を軸に物語が進んでいく。
物語中盤、うなされる銀時の夢の中に登場し「俺は壊すだけだ ケモノのうめきが止むまでな」と語ったように、高杉は恩師・松陽先生を殺したこの世すべてに恨みを持ち、破壊しようとしていた。
高杉は同性から見ても、実に色気のあるキャラである。艶やかな着物に身を包み、サラサラの髪に左目を覆い隠すように巻かれた包帯……と、どこかミステリアスなビジュアルもカッコいい。また、三味線や煙管を楽しむ場面も多く、アーティストとして活動する堂本さん本人にもどこか通ずるものを感じる。
銀時とのラストバトルでは、殺陣はもちろん拳で殴り合う場面もあり、最後はプロレスのようなスープレックスで勝負が決まる。互いの生きざまがぶつかり合うような壮絶なバトルシーンは必見だ。
ちなみに堂本さんは、2018年『銀魂2 掟は破るためにこそある』にも高杉として登場している。『1』ほど表立った行動をしていなかったが、三浦春馬さん演じる伊東鴨太郎や窪田正孝さん演じる河上万斉とつながり、裏で糸を引く影ボス的な存在となっていた。