■ドラマであのギャグは再現不可能!? ハートフルな展開に

 実写ドラマ『お父さんは心配症』は原作とは異なり、全体的にハートフルな展開となっている。

 漫画の光太郎は典子のボーイフレンドの北野に異常なまでの嫉妬心を持っており、フォークで頭を突き刺す、包丁で刺すといった過激な行動を取る。しかし実写でそのような演出をしたら、一気にホラー作品になってしまうだろう……。そのためドラマでは光太郎が北野を追いかけまわすくらいの演出にとどまっており、それを典子が止めるといった展開が多かった。

 また漫画では突然体を締め付ける大蛇や墜落する飛行機、“うげっ”と言って吐き出す血など、突拍子もないシーンが随所に登場する。これらのシーンは原作の見どころでもあるのだが、やはりこのようなシュールなギャグを実写化で完全に再現するのはなかなか難しい。

 こういった理由もあってか、ドラマでは典子と北野の今後の関係に注目させるようなストーリーや、困った父親だけどやっぱりお父さんが好きな典子、心から典子を愛する光太郎の様子など親子愛にスポットをあてて描かれていた。

 ドラマのエンディングでは光太郎と典子、妹の奈々が楽しく川沿いをサイクリングするシーンが登場しており、一見すると和やかなホームドラマにも見える。エンディングに流れる猪島庄司さんが歌う「もう一度」という曲も、ドラマ全体を和やかな雰囲気にさせていた。

 

『お父さんは心配症』の実写ドラマは、ビジュアルから内容まで原作の漫画とは異なっていた。問題となりそうな過激なギャグは封印されているため、ちょっと物足りなさを実感した視聴者もいたようだ。

 しかし現実と置き換えるならこんな感じ……という雰囲気は十分にあり、典子と北野とのこれからや、光太郎自身の恋愛の行方も描かれているのも特徴だった。

 残念ながら、現時点で実写ドラマが放送される予定もなく、視聴できる配信サービスもない。あーみんワールドを堪能したい人は、ぜひ漫画の『お父さんは心配症』を読み返してほしい。

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