■人がどうなろうと知ったこっちゃない…とにかく敵をぶっ倒すことだけを考えるダークヒーロー『ベルセルク』ガッツ
最後は三浦建太郎さんによる『ベルセルク』のガッツだ。本作は原作者である三浦さんの逝去後、スタジオ我画と親友の漫画家・森恒二さんによって連載再開されている。
さて、ガッツは初登場時から影のある雰囲気で、どうみても暗い過去を背負っている印象だった。実際にとんでもないトラウマ級の過去を背負っているのだが……。
彼は周囲の人間がどうなろうとお構いなしで、ただひたすら使徒とよばれる異形の者たちを相手に剣を振るう。相棒となる妖精パックは陽気なキャラクターだが、彼がいなかったらどんよりした雰囲気のままストーリーが進んでしまったことだろう。
特に序盤、コレットという愛らしい女の子が亡霊に憑依された場面では、ガッツは容赦なく真っ二つに。う~ん、普通のバトル漫画ならコレットから亡霊を追い出して助けるのだが、そこは容赦なし。
まれに弱者を助けるのだが、ほとんどが成り行きからであり、「鷹の団」崩壊後は自分の前に立ちふさがるものは悪霊と人間とにかかわらず、ぶん殴るか斬り付けてしまうほどの狂戦士だ。ただ、ガッツの場合は想い人・キャスカを救うという名目もあり、パックやシールケ、ファルネーゼ、セルピコらといった新たな仲間の前では傍若無人という振る舞いも抑えられるようになっていた。
まあ、序盤のガッツは特に恐ろしいが、生きる糧が「憎悪」「怒り」「復讐」とどれもダークエネルギーなので、致し方ない面もあるものだ。シールケが来てからは少しマシになったともいえるが…。
鷹の団の頃のように、生き生きとしたガッツをまた見たいものである。いや、グリフィスがいる以上は絶対に無理か…。
さて、傍若無人の主人公は彼ら以外にもまだまだたくさんいるだろう。唯我独尊タイプ(ガッツはちょっと違うが)の主人公も魅力あるものだし、また機会があれば紹介していきたい。