漫画の主人公は、バトル系や格闘系などジャンルにかかわらず、「正義のヒーロー」ともいうべき清く正しい姿が模範とされがちなもの。
しかし中には、悪役でも通用するほどの傍若無人な主人公もいる。そこで今回は作中で凄まじいほどの強さを誇る、と同時にいろいろやりたい放題の主人公キャラをみていこう。
■作中でも賛否両論!?『ああ播磨灘』の最強横綱・播磨灘勲
まずはさだやす圭さんによる『ああ播磨灘』だ。当時も今も珍しい相撲漫画で、主人公の播磨灘は初登場時からかなり強い。
一般的にスポーツ漫画といえば、はじめは弱くて稽古や実戦を経て強くなっていくストーリーを予想する。しかし本作の主人公である播磨灘は第一話時点で横綱だし、被り物をして土俵入りをするトンデモっぷりだ。さらに暴言を吐き、ダメ押しまでするのでとても品格は横綱ではない。
伝統や格式を重んじる相撲協会は親方と一緒に播磨灘を呼び出すが、彼は一向に意に介せず、重役たちを前にしても己を貫き通している。
ちなみに播磨灘のような力士は作中でも賛否両論で、ファンも多いが負けろと罵る相撲ファンも多く、連日満員御礼となっているほどの盛況ぶり。
視聴率に至っては50%を超えるほどなので、協会にとってもありがたい存在なんじゃないの?って思えてくるほどだ。まあ、確かに現在の相撲界でこのような力士が登場したら、盛り上がることは間違いないだろう。
播磨灘は非常に強いものの、意外とやられそうになるシーンが多いので、結構逆転劇のような取り組みも見受けられる。ただ、どれだけ強敵がいようとも、強靭な足腰で土俵を割らないし、両腕のパワーも半端ない。
傍若無人な振る舞いをするうえ、「ぼけー」や「死にさらせー」などと発言するのは作者の代表作でもある『なんと孫六』の甲斐孫六とも一緒だ。そういえば孫六も傍若無人だったな。
■圧倒的な強さで敵をいたぶる残忍な魔法使い『BASTARD!! ー暗黒の破壊神ー』ダーク・シュナイダー
ダークファンタジーの伝説的な魔法使いが活躍するのが萩原一至さんによる『BASTARD!! ー暗黒の破壊神ー』だ。主人公のダーク・シュナイダーは圧倒的な魔力を誇りながら、正義のために戦うような清く正しい性格をしておらず、とにかく自分の欲のために行動する男だ。
弱っている敵をいたぶるのが大好きで、卑劣・残忍という言葉が似合っている。かなりの自信家だが、それ相応の実力を備えており、頭の回転も速い。無類の女好きで、人の言うことを聞かずに自分のやりたいように行動するという、非常に困った性格で周囲を混乱させることが多い。
しかし、ダーク・シュナイダーにも弱点がある。それは自身が封印されていたルーシェの育ての姉であるヨーコだ。ルーシェはヨーコによって厳しくも優しく育てられており、その記憶があるダーク・シュナイダーは復活してもヨーコにだけは頭が上がらない。というよりも何度もヨーコにぶっ飛ばされている。
ヨーコの前では猫耳を立てるシーンも可愛いのだが、基本的に傍若無人の主人公で、悪役でもいいくらいの性格。だが、自身の部下でもある個性豊かな四天王との対決はかなり面白かった。
特に呪文を唱える際の詠唱シーン……「七鍵守護神(ハーロ・イーン)」の“灰燼と化せ!! 冥界の賢者 七つの鍵をもて 開け 地獄の門!!!!!”はカッコいい。カル=スの「絶対零凍破(テスタメント)」もいいのだが、あれを防いでから放つハーロ・イーンが最高にテンション上がったものだ。