■「破壊と再生」を描いた「輝く流星! サターンそして救世主」
『美少女戦士セーラームーンS』の神回はそれだけではない。続いて紹介するのは、NHKの同ランキングで8位に選ばれた36話「輝く流星! サターンそして救世主」(1995年2月11日放送)。『S』は38話で最終回となるため、物語もいよいよ大詰めといったところだ。
この回では、セーラームーンが凶悪な異次元生物であるデス・バスターズのミストレス9に寄生されている土萠ほたるを救うため、ウラヌスとネプチューンに制止される中、自身の変身アイテムである聖杯を差し出す。
その後、ほたるの意識は覚醒し、セーラーサターンの力も覚醒するが、セーラーサターンは自らの役目として、自分自身をも滅ぼしてしまう「滅びの力」を使ってデス・バスターズの支配者であるファラオ90に対峙する。
そんなサターンを救うために二段階変身したいセーラームーンだが、聖杯がないため変身できない。
自分の目の前で破滅しようとするサターンを救えないセーラームーンは「クライシスメイクアップ!」と泣きながら何度も呪文を唱え、「変わってよ!」と声を荒げて地面を叩く。その姿は見ている視聴者の胸を打つものだった。
純粋な心とセーラー戦士たちとの思いが共鳴し、聖杯がないままで変身できたスーパーセーラームーン。最後は赤ちゃんとなったほたるを抱え、荒れ果てた地に降り立つ。まさに「破壊と再生」を描いた壮大な回だった。
このほかにも『S』では、ギャグ回にシリアス回、敵同士のやりとりがトラウマになる衝撃的な回など、見逃せない回は数えきれない。30年という時を経ても古さを感じさせないスタイリッシュな『S』の世界を、ぜひもう一度楽しんでみてはいかがだろうか。