チッチとサリーの“その後”も…みつはしちかこの名作『小さな恋のものがたり』を令和の今読み返してみたの画像
『小さな恋のものがたり』電子特別編集版 第1巻(学研プラス)

 図書館に出向いたとき、思わず「懐かしい!」と声をあげてしまった漫画がある。それがみつはしちかこさんによる『小さな恋のものがたり』だ。

 本作は1962年に女性向け雑誌『美しい十代』(学習研究社)で連載がはじまり、2008年に休筆するまで、46年間休むことなく連載された。その後休養を経て連載が開始され、連載期間はトータルでなんと50年以上。現在、連載漫画としては6番目に長い漫画となっている。

 今回、久しぶりに昭和を代表する名作の『小さな恋のものがたり』を読み返してみた。チッチとサリーは変わらずにいるだろうか。令和になった今、ドキドキと新鮮な気分でページをめくってみた。

■会いたかったチッチとサリー! その他多くの登場人物も覚えている

 昭和生まれの女性なら、きっと多くの人が読んだであろう『小さな恋のものがたり』。珍しく図書館で借りられる“漫画”だったので、筆者は子どものころによく借りていたことを覚えている。

 久しぶりに図書館で借りた作品は『小さな恋のものがたり図書館版』。本作は単行本からみつはしさん本人が話を選び、構成された作品だ。

 身長132センチの“チッチ”こと小川チイコは、小柄でちょっとドジな女の子。ある雨の日に、長身でハンサムな“サリー”こと村上聡に傘を差し出され、恋に落ちる。

 ああ、懐かしい……。当時、サクランボのように可愛らしい足をしたチッチの絵を真似して描いてみた記憶もある。もう50年以上も前に誕生した作品だが、今読んでも相変わらずサリーは永遠の美男子だ。

 ずっとチッチがサリーに片思いをしているようなイメージがあったが、本作では1巻半ばから自然と2人がデートをしている。2人が電話をするシーンでは、“旅行から早く帰ってきて”というチッチに対し、サリーも“ボクだってあいたいサ”なんて言っており、読み返すと意外と相思相愛であることにも気づいた。

 また、読み進めていくうちに、実に多くの登場人物がいたことも思い出した。チッチの親友・トンコ、その彼氏となる山下君、チッチと微妙な関係を展開する岸本君、そのほか、チッチのライバルや先生などなど。どのキャラクターも丁寧に描写されており、親近感がわく人物ばかりだ。

 作中ではチッチの母親が、“16才といえば かぞえで18ですよ 昔だったらね…”といった“昭和ならでは”のお説教シーンも登場する。しかし全体的に古臭さはまったくない。違和感なく、あっという間に作品に没入することができた。

■アニメ化、実写化、大塚愛さんとのコラボも話題

『小さな恋のものがたり』は、メディア化も多くされている。

 1972年、日本テレビ系列で実写化されたドラマでは、チッチ役は当時大人気女優だった岡崎友紀さん、サリー役は端正な顔立ちで『太陽にほえろ!』でも活躍した沖雅也さんが抜擢されている。漫画のような身長差はなかったが、昭和ならではの甘酸っぱいラブストーリーが展開され、話題を呼んだ。

 そして1984年には、アニメ化もされた本作。みつはしさんの特徴であるシンプルかつ表情豊かな絵柄はアニメでも上手く表現されており、とってもキュートだ。サリーの声は名声優である古川登志夫さんが演じており、ちょっと大人びた声がさらにハンサム度をアップさせている。

 また、昨年2023年にはシンガーソングライターの大塚愛さんが、『小さな恋のものがたり』のイメージソングをリリースした。「maybe I love you」というこちらの曲のPVでは本作のアニメーションが流れ、大塚さんの甘い歌声と歌詞も大変マッチしているように思う。

 この曲により、令和世代の若者が『小さな恋のものがたり』を知るきっかけにもなっただろう。

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