シロッコにシャア、クルーゼも…『ガンダム』シリーズのラスボスが放った“考えさせられる名言”の画像
アニメ『機動戦士Zガンダム』DVD第13巻より、パプテマス・シロッコ

『ガンダム』シリーズに登場するラスボスキャラは、自らが抱く壮大な野望のために世界を巻き込む戦争を引き起こす。そんなラスボスが各キャラと繰り広げる舌戦のなか、時折人の本質を突くかのような心からの叫びが放たれ、その言葉に視聴者も思わず考えさせられてしまうこともある。

 今回は『ガンダム』シリーズのラスボスが放った、思わず考えさせられる名言をいくつか紹介したい。

■天才の存在は否定できない。が、しかし…「パプテマス・シロッコ」

 まずは、『機動戦士Zガンダム』より、パプテマス・シロッコの名言を紹介しよう。

 地球に住む人類を排除しようと目論むシロッコは、その理想を否定するカミーユ・ビダンに対し「常に世の中を動かしてきたのは 一握りの天才だ!!」と言い放つ。

 確かに、日常には自分では到底思いつかなかった発想や、優れた技術の産物で溢れている。0を1にすることの難しさを考慮すると、“一握りの天才”の存在をまざまざと実感させられてしまう。

 しかし「天才」が言うところの「凡人」の存在なくしては、その1を100にすることなど到底できないように思う。国を動かす政治家や生活に彩りを与えてくれる技術者、天賦の才を感じさせるスポーツ選手ですら、凡人の存在があってこそ光るというものではないだろうか。

 個人の力で人類を排除できないことなど、誰の目にも明らかでありながら放たれたこの言葉は、シロッコのカリスマ性と愚かさを同時に表現した名言である。

■現実とリンクする哀しき現実「シャア・アズナブル」

 続いて、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』より、シャア・アズナブルが放った名言を紹介しよう。

 シャアは全人類を宇宙に進出させるため、小惑星・アクシズを地球に落とし住めない星にしようと画策する。ロンデニオンでアムロと運命的に再会した際には、意見の違いからつかみ合いの乱闘へと発展。地球に住む人々を卑しめながらシャアは「地球は 人間のエゴ全部を飲み込めやしない!」と叫んだ。

 この言葉の裏には全人類を宇宙に進出させることでニュータイプという人類の革新を促す目的があったわけだが、昨今の異常気象や産業の発展による環境汚染などを鑑みると、この言葉の意味自体はあながち間違いではないように感じてしまう。

 誰しもが持つ個人のエゴが集団のエゴとなり、時にぶつかり合いながら人類の文化は発展してきた。その文化を恒久的に発展させるためには、地球という惑星は少々狭すぎるのかもしれない。

 ザビ家への復讐心から始まったシャアの戦いの歴史。数多の戦場を駆け多くの人と出会った彼の終着地が、人類が地球に犯してきた罪に対する贖罪であるという哀しき運命には少々同情してしまう。もっとも、アクシズ落としという暴挙に出るシャア個人のエゴ自体、地球が飲み込めるとは到底思えないのだが……。

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