■のび太の覚醒といえばこのエピソード「帰ってきたドラえもん」
1998年に公開された『ドラえもん のび太の南海大冒険』と同時上映されたのが、『帰ってきたドラえもん』だ。本作は、てんとう虫コミックス6巻「さようなら、ドラえもん」と、7巻「帰ってきたドラえもん」の2つのエピソードを繋げて作られており、泣ける作品として知られている。
ある日、急に未来の世界に帰ることになったドラえもん。お互い離れたくない2人だったが、のび太はドラえもんを気持ちよく送り出そうと「ひとりでちゃんとやれるよ。約束する!」と宣言。
しかし、そんなときにジャイアンが喧嘩をしかけてきた。いつもなら逃げるのび太だが、ここで負けたらドラえもんが心配すると思い、傷だらけになりながらもジャイアンに反撃し、ついに打ち負かすのであった。
その後、ドラえもんのいない世界で寂しく過ごすのび太は、相変わらずジャイアンやスネ夫にいじめられていた。つらいことが重なったのび太は「がまんできないことがあったら、これをひらけ」と、ドラえもんが置いていったひみつ道具を開く。すると、言ったこととは真逆のことが起きる「ウソ800」という道具が出てきた。
それを使っていじめっ子たちに復讐を遂げるも、のび太はさみしそうに「ドラえもんは帰ってこないんだから。もう、二度とあえないんだから。」と、涙を流しつぶやく。しかしこれがきっかけとなり、未来からドラえもんは帰ってくるのだった。
このエピソードは、“ドラ泣き”のキャッチコピーでも知られる2014年に公開されたフル3DCGアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』でも登場する。普段はドラえもんに頼ってばかりののび太がここぞというときに立ち向かい、ボロボロになりながらもジャイアンを打ち負かすシーンは必見だ。
今回のエピソードを見返してみると、「のび太、案外やるじゃん!」と思える。ひみつ道具がなくてもここまで頑張れるということは、実はのび太をダメにさせているのはドラえもんの存在なのかもしれない?
残念ながら現実社会にドラえもんはいない。今回ののび太の頑張りのように、私たちもひみつ道具に頼らず困難に立ち向かって行きたいものである。