「帰ってきたドラえもん」だけじゃない…『ドラえもん』のび太が自分の力で困難を乗り切ったレア回の画像
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第6巻(小学館)

 国民的アニメ『ドラえもん』の生みの親である藤子・F・不二雄さんは、昨年12月に生誕90周年を迎えた。その記念すべき映画として絶賛上映中なのが『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』だ。

 本作はドラえもんやのび太、ジャイアン、スネ夫、しずかといったお馴染みのメンバーが、音楽がエネルギーになる惑星の少女・ミッカとともに、音楽を通してさまざまな冒険をする作品だ。

 今回の映画の予告動画を見ると、リコーダーが上手に吹けずに困ったのび太がドラえもんの道具に頼るシーンがある。そう、映画に限ったことではないが、のび太はドラえもんの道具に頼ることが多いのだ。

 しかしエピソードのなかには、ドラえもんの力を借りず、のび太自身の力で困難を乗り越えるケースもあった。今回はそんな感動的とも言える、のび太自身が頑張ったサクセスストーリーをいくつかピックアップしよう。

■何でもやり通す気力になる「シャラガム」でも実は…

『ドラえもんプラス』3巻に登場するのが、噛むと何でもやり通す気力になる「シャラガム」だ。

 ある日、“このままじゃダメだ、帰ったらまずは3時間みっちり勉強する!”という決心をしたのび太。しかし決意したのも束の間、女の子たちとボール遊びをしてしまう。呆れたドラえもんが取り出したのがこの「シャラガム」であり、噛むことで“やろうと思ったことは何でもやり遂げるようになる”と説明する。

 さっそくガムを噛んだのび太の前に、面白い漫画を見せるスネ夫や、ゲーム機を持つしずかちゃん、襲い掛かってくるジャイアンなど、数々の誘惑やアクシデントが訪れる。しかしのび太はなんとかそれを乗り切り、勉強をするために自宅に戻ってくるのであった。

 しかしこの「シャラガム」、実はまったく効果がないただの“普通のガム”だった。あえてニセ物を渡すことで、“自分の意思だけでやりぬける”ということをドラえもんは証明してくれたのである。

「シャラガム」はいわば自己暗示機能を発揮したガムであり、うまく使えば私たちの生活にも役立ちそうな道具である。

■“このまんがおしまいじゃないか!”のセリフも飛び出す衝撃ストーリー「無人島へ家出」

 てんとう虫コミックス14巻に登場するのが、のび太がなんと10年にも渡り家出をする「無人島へ家出」だ。

 ある日、帰宅が遅くなったことを両親やドラえもんに叱られたのび太は、怒りのあまり家出を決意する。止めようとするドラえもんにネズミのおもちゃを見せて気絶させ、のび太はその間にドラえもんのポケットからひみつ道具を適当に取り出し、無人島に出発した。

 最初こそ決意の固いのび太だったが、持ってきたひみつ道具が使えないことが分かると、早々と帰宅を決意。しかし肝心のタケコプターが飛んでいってしまい、無人島から出られなくなってしまう。

 その後、のび太はひみつ道具で掘った穴に住み、なんとか水も確保してサバイバル生活を続けることに……その生活はなんと10年にも及んだ。そしてすっかり大人になったのび太は「どうなってんの? ぼくがおとなになったら、このまんがおしまいじゃないか!」と叫ぶ。

 最終的に一度は捨てたひみつ道具「SOSはっしんき」により、のび太はドラえもんに救出される。「タイムマシン」で家出した夜に戻り、「タイムふろしき」で再び子どもに戻ったのび太は、10年振りの両親との再会に涙を流すというオチだ。

 ひみつ道具の力を借りたとはいえ、10年もの間、無人島でサバイバル生活を送るなんてスゴい。のび太はこの10年で、精神的にも肉体的にも鍛えられたことだろう。

 それにしても、ドラえもんはなぜひみつ道具を駆使してのび太を探し出さなかったのだろうか。もしものび太の成長を狙ってのことだったとしたら? ……ドラえもんにもちょっと驚いてしまうエピソードだ。

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