今季大絶賛のドラマ『不適切にもほどがある!』は、1986年の昭和時代と令和の現代を行き来するタイムスリップコメディだ。中高年にとって1986年のシーンは懐かしさを感じ、若者にとっては興味深い非日常が見られると、話題になっている。
1986年は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)では『ドラゴンボール』や『北斗の拳』、『シティーハンター』など数々の名作が連載されている時期で、少年漫画雑誌の黄金期とも言われている。
しかし黄金期は少年漫画だけでなく、少女漫画も同じだ。ここでは人気少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)と『なかよし』(講談社)から、1986年に掲載されていた有名作品を紹介しよう。
■1986年はあの「国民的漫画」が『りぼん』に掲載された年!
1986年に連載がスタートした少女漫画に、あの国民的人気作品がある。それが『りぼん』で連載された、さくらももこさんによる『ちびまる子ちゃん』だ。
当時小学生だった筆者は、『ちびまる子ちゃん』をはじめて読んだ時のことを鮮明に覚えている。当時、ほかの作品は目がキラキラと輝く美しい少女を主人公とした漫画が多く、さくらさんの手書き風な描画はインパクトがあった。
また、当時王道であったヒロインとプリンスの恋愛模様などはいっさい登場せず、さくらさん自身を投影した小学校3年生の“あるある”が描かれており、それがとても面白かった。
第一話では、夏休みを迎えたまる子が多くの荷物を抱えながら家路につく。計画性のないまる子は終業式に大荷物を抱える羽目になり、途中で同じように荷物を抱える子を見つけホッとするものの、それは自分の姉だったというオチだ。まったく同じような経験があったので、「分かるわあ……」と思いながら読んでいた。
読者にとって『ちびまる子ちゃん』は共感できるストーリーが多く、クスっと笑える場面が多いのも魅力だ。本作はその後『りぼん』で大人気作品となり、1990年にアニメ化されたあとは1977年9月26日以降に放送されたアニメで1位となる最高視聴率39・9%を叩き出している。
まさに「国民的アニメ」となった『ちびまる子ちゃん』。34年経つ現在でも放送されている言わずと知れた人気作品だ。
残念ながら、まる子の声を長きにわたって担当していたTARAKOさんが4日未明に亡くなっていたことが9日に発表された。その早すぎる旅立ちに、各界から悲しみの声が寄せられている。
TARAKOさんが『ちびまる子ちゃん』に出演する最後のエピソードとなる「まる子、水の味がわかる?」の巻は、3月24日(日)の放送予定となっている。TARAKOさんの演じるまる子のいきいきとした声を聞き、思い出に浸りたいものだ。
■1986年の『りぼん』がスゴい!! 伝説的人気漫画の数々が絶賛連載中
1986年に『りぼん』で掲載されていた有名作品は『ちびまる子ちゃん』だけではない。当時のヒロインがついに最近“おばあちゃん”になったと話題なのが、池野恋さんの『ときめきトゥナイト』である。
本作は1982年から連載がスタートした80年代を代表するラブコメディ作品だ。主人公の江藤蘭世のかわいらしさや、プリンス役の真壁俊のクールさなどが話題となり、番外編なども経て長期に渡り連載されている。そして、令和になった現在も『ときめきトゥナイト それから』で、祖母になった蘭世たちの活躍を読むことができる。
また、86年の『りぼん』では、一条ゆかりさんの代表作『有閑倶楽部』も連載していた。アクションや謎解き、オカルト展開もたっぷり楽しめる本作は、一条さんの緻密な描写力も話題となり人気を博した。
そして今もなお“伝説のギャグ漫画”として語り継がれているのが、コンプライアンスを無視したハチャメチャ展開が巻き起こる『お父さんは心配症』である。岡田あーみんさんによる本作は1984年から連載が開始され、今だったら問題になってしまいそうなシュールなギャグが数々登場する作品だ。
1986年の『りぼん』は、王道恋愛漫画をはじめ、今でも読み続けられているような有名作品が目白押しだった。令和の時代に読んでも面白く、時代を超えて愛される作品が多く登場したことが分かる。