■逆さはりつけ処刑未遂…! 暗殺宇宙人ナックル星人戦
第37話「ウルトラマン 夕陽に死す」と、第38話「ウルトラの星 光る時」での暗殺宇宙人ナックル星人との戦いが、ウルトラマンジャック最大のピンチだったかもしれない。
ウルトラマンジャック打倒をもくろむナックル星人は、宇宙電波研究所の所長に変身しウルトラマンジャックを分析していた。そして、ウルトラマンジャックこと郷秀樹の弱点は、彼の心の支えとなっている坂田兄妹であることに気づく。
ナックル星人は、郷に精神的ダメージを与えるために妹の坂田アキを拉致。止めようとした兄の坂田健をひき殺し、さらに逃げようとしたアキも車に引きずられて死亡してしまう……。子どもたちが楽しむ特撮ドラマとは思えないほど残忍な方法だったため、郷への精神的ダメージははもちろん、当時の視聴者にもかなりの衝撃を与えた。
悔しいかな、このナックル星人の作戦は効果抜群だった。深く傷つき仇に燃えるウルトラマンジャックは、終始戦いに精彩を欠くこととなる。対するナックル星人は、ウルトラマンジャックを研究し戦いに挑み、ブラックキングとともに完膚なきまでに叩きのめす。
夕陽を背景にカラータイマーが点滅し「太陽エネルギーをくれ! 私はここで倒れるわけにはいけないのだ!」と、ボコボコにされるウルトラマンジャックの姿には悲壮感すら感じられた。
力尽きた後、ナックル星人の宇宙船で吊し上げられ、人々に晒されるウルトラマンジャック。その姿でさえヒーローとしては十分悲惨だったが、その後はなんと“逆さはりつけ”にさせられるという屈辱的な仕打ちを受ける。
処刑される寸前、初代ウルトラマンとウルトラセブンが駆けつけてくれてなんとか窮地を逃れるウルトラマンジャック。その後、ナックル星人はMATに潜入などして再びジャックを暗殺しようとするもことごとく失敗し、最後はウルトラマンジャックの前に敗れた。
2話にわたる長い戦いは、その途中で深い悲しみもありつつ、ウルトラマンジャックの大逆転で終わった。
今回は『帰ってきたウルトラマン』の中から、とくにこっぴどく敵に痛めつけられたウルトラマンジャックの悲惨な姿を紹介してきた。
実はウルトラマンジャックは他の作品でも悲惨な目に遭っている。『ウルトラマンタロウ』第52話「ウルトラの命を盗め!」では、どろぼう怪獣ドロボンにカラータイマーをとられてペシャンコになっているし、『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」では、二面凶悪怪獣アシュランに襲われたあげくマスクをつけられ喋れなくされている。
ウルトラマンジャックは、ウルトラ兄弟いち、過酷な目に遭っているヒーローかもしれない。