1971年から放送された『帰ってきたウルトラマン』。本作に登場するウルトラマンジャックは、悲惨な姿を多くさらした。
外見こそ似ているが、初代の『ウルトラマン』とは別人だ。ウルトラマンことハヤタは隙のない完璧なヒーローだったのに対して、『帰ってきたウルトラマン』の郷秀樹は精神的に未熟で、ゆえにウルトラマンジャックに変身しても苦戦することが多かった。ただ、裏を返すと『帰ってきたウルトラマン』でのウルトラマンは、そこからの大逆転や成長が魅力のヒーローでもあるとも言えるのだが……。
苦戦する中で、他のウルトラマンでは見られないほどの“激しい痛めつけられ方”もしているウルトラマンジャック。そこで今回は『帰ってきたウルトラマン』のエピソードから、特にひどい目に遭ってしまったウルトラマンジャックの衝撃的な姿を紹介する。そこからの大逆転劇にもぜひ注目してほしい。
■凍らされてバラバラに!? 雪女怪獣スノーゴン戦
まずは、第40話「冬の怪奇シリーズ まぼろしの雪女」での、雪女怪獣スノーゴンとの戦いだ。
この回では、雪山でカップルが失踪する事件が相次いでいた。怪獣攻撃隊・MATが捜査をはじめると、山小屋の管理人とその孫娘が事件に関与していることが判明する。実は管理人の正体はブラック星人で、孫娘はその手下・雪女怪獣スノーゴンだった。2人はカップルを拉致し、奴隷にしていたのだ。
正体がバレると巨大化し暴れるスノーゴン。スノーゴンは“雪女怪獣”と称されているが、雪女のように見えるのは人間状態のときだけで、本体は恐竜の頭をしたホッキョクグマに近い見た目をしている。ただ、手や口から冷凍ガスを放出し、敵を瞬時に凍らせてしまうあたりは、雪女らしいと言える。
この冷凍ガスは非常に強力で、それを浴びせられたウルトラマンジャックは一瞬でカチカチに凍ってしまう。そしてなすすべなく、手や足、さらには頭までもがもがれ、バラバラにされてしまうのだ。
かなり絶体絶命な状態だが、ウルトラマンジャックには“秘密兵器”ウルトラブレスレットがあった。ここから大逆転劇のはじまりだ。
ブレスレットが光ると、「ウルトラ再生パワー」という技によってバラバラだった体が無事元通りに。再度冷気を吹き付けられるも、今度はウルトラブレスレットを盾に変形させる「ウルトラディフェンダー」で跳ね返す。逆に凍らせられてしまったスノーゴンは、木っ端微塵に爆散した。
体がバラバラになるという前代未聞の大ピンチだったが、ウルトラブレスレットの力を使った見事な大逆転勝利だった。しかし、ヒーローであるウルトラマンの首がもげてしまうとは……当時見ていた子どもたちにとってトラウマになってしまったこと間違いないだろう。
■完全に失神してしまった…電波怪獣ビーコン戦
第21話「怪獣チャンネル」では、電波層に生息している電波怪獣ビーコンが地上近くに現れ、世界が大混乱になっていた。
ビーコンはかなりの巨体ながら反重力を発しており、常に浮遊している。電波を主食としているため、電波を食べられた旅客機が航行不能になり撃墜・衝突させられたりもしていた。
そこで、MATは東京中の電波を封鎖し、ビーコンを太平洋におびき出す作戦を決行する。しかし一人の少年がアマチュア無線を使ってしまったためビーコンは東京に逆戻りしてしまい、ウルトラマンジャックと交戦することに……。
フワフワと空中を漂いながら攻撃してくるビーコンに、なんとも戦いにくそうなウルトラマンジャック。ゴツゴツした体も非常に頑強で、ウルトラマンジャックのキックやMATの攻撃もまったく効かない。
さらにビーコンは攻撃能力も高く、その大きな目から放つ破壊光線は「スペシウム光線」をも相殺するほど。そしてウルトラマンジャックは上から覆いかぶさられ、腹部から出す50万Vの高圧電流の直撃を受け、完全に気絶してしまった。
しかし、ここでもウルトラブレスレットが活躍する。ウルトラブレスレットが持つ「エネルギー再生能力」によって、意識を取り戻したウルトラマンジャックは、ブレスレットを投げつけて見事ビーコンを撃墜し倒すことに成功した。
見事大逆転はしたものの、電気ショックで気絶し瞳の輝きを失うウルトラマンジャックを見たときは、かなり不安な気持ちにさせられたものである。