■人間味溢れる叩き上げ艦長「マリュー・ラミアス」

 最後は『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場した「マリュー・ラミアス」を紹介する。

 今年1月26日に公開となった新作映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でも指揮官として活躍している彼女だが、実は『機動戦士ガンダムSEED』第1話では、大西洋連邦の技術士官、つまりエンジニアとして登場していた。

 ザフト軍の襲撃により艦長を含むブリッジ要員のほとんどが殉職してしまったため、成り行きで事実上アークエンジェルの艦長を務めたマリュー。しかしその後、判断と思い切りの良さで艦隊戦の才能を発揮、幾度となく死線を潜り抜けた。

 続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、オーブへ亡命しエンジニアとして暮らしていたが、世界の混乱に巻き込まれ、再びアークエンジェルの艦長となる。

 最終話である50話。最終決戦であるメサイア攻防戦で、マリューはライバル艦のミネルバと激闘を繰り広げる。そして、戦闘不能となり月面に不時着したミネルバに敬礼し、「グラディス艦長」と敬意を示した。同じ女性艦長であるタリア・グラディスに対し、彼女なりに思うところがあったのだろう。

 艦長として厳しい判断に迫られる場面も多くあったが、物語を通して最後まで非情な軍人という印象はなく、ムウ・ラ・フラガとの関係、ナタル・バジルールなど軍との対立など非常に人間味溢れるキャラだったように感じる。さらに、キラ・ヤマトをはじめとする精神的に幼いアークエンジェルのクルーを、優しく、ときに厳しくまとめあげる姿も非常に美しかった。

 

 今回は、『ガンダム』シリーズで活躍したカッコいい女性指揮官3人を紹介してきた。いずれも指導者や軍人として非常に優秀で、そして美貌を兼ね備えたカッコいい女性であった。

 そんな完璧に見える彼女たちだったが、作中では時折感情を出す部分があり、それもまたキャラクターとしての深みとなり、魅力になっていたのではないだろうか。

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