3月8日「国際女性デー」に振り返る…『ガンダム』シリーズに登場するカッコいい女性指揮官 ハマーン・カーンにシーマ・ガラハウ、マリュー・ラミアスもの画像
小説『機動戦士Zガンダム 第4部 ザビ家再臨』(KADOKAWA)書影より引用

 本日3月8日は『国際女性デー』だ。世界中で女性の権利向上のためのイベントや運動がおこなわれる。今回はこの日にちなんで、『ガンダム』シリーズで活躍した女性たちを紹介していきたい。

『ガンダム』の世界は、実は女性が活躍する世界でもある。ときに優しく、ときに力強い彼女たちの姿は、作品により彩りを加えているように思う。思いつくだけでも多数の女性キャラがあげられるが、今回は厳選して指揮官3名を紹介したい。

■シリーズ屈指のカリスマ指導者「ハマーン・カーン」

 ガンダムシリーズのカッコいい女性指揮官といえば、シリーズ屈指のカリスマキャラ「ハマーン・カーン」だろう。ピンクの髪が特徴的な彼女は『機動戦士Zガンダム』に登場し、続編の『機動戦士ガンダムZZ』では、堂々ラスボスとしてファンを魅了した。

 一年戦争後、ハマーンはまだ幼かったミネバ・ラオ・ザビの後見人になるかたちで事実上アクシズの最高指導者となる。アクシズがグリプス戦役に介入した際、クワトロ・バジーナやジャミトフ・ハイマン、パプテマス・シロッコなど歴戦ぞろいの各陣営の指導者たちとも堂々と渡り合っていた。

 指導者としての才能のみならず、ニュータイプ能力を持つ彼女はパイロットとしても非常に優秀だ。遠隔操作式ビーム砲・ファンネルも搭載した白く美しい専用機「キュベレイ」は、カッコいいハマーンにピッタリの機体だった。

 グリプス戦役の終結後にジオン共和国の戦力も吸収し、組織名をアクシズからネオ・ジオンとあらためる。第22話「ジュドー、出撃!!」地球降下作戦ではネオ・ジオン兵士の前で「機は熟した 共に戦おう ネオ・ジオンのために ネオ・ジオンの栄光のために」と演説。ホロスコープで大きく投影された彼女の姿は、兵士たちの士気を大いに高めた。

 これら一連の作戦により、一時はハマーンの描いたシナリオ通りに世界は動いていたが、グレミー・トトによる内乱を機に情勢は傾く。そして、最終決戦でジュドー・アーシタに敗れたハマーン。22歳の若さでこの世を去ることとなったが、最期まで気高さを失うことはなかった。

■蜉蝣のように生きた女傑「シーマ・ガラハウ」

 次は、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場した「シーマ・ガラハウ」を紹介する。

 シーマはジオン公国軍突撃機動軍所属の女性将校で階級は中佐。黒髪に長身、その圧倒的なスタイルで見た目も威厳がありカッコいい。

 一年戦争時の撃墜スコアは56機と、パイロットとしてもエース級。さらに彼女の故郷であるサイド3コロニー“マハル”の出身者のみ(アサクラ大佐を除く)で構成された“シーマ艦隊”は、荒くれものばかりの武闘派集団。それをきっちりまとめ上げるなど、指揮官としても優秀だった。

 そんな美しく軍人として非常に優秀なシーマだったが、彼女の運命は過酷そのものだった。破壊工作など“汚れ仕事”を多く命じられていたシーマ艦隊は、ブリティッシュ作戦ではコロニーに毒ガスを散布し2000万人の住人を虐殺する。毒ガスだと知らされず軍に命じられてやったこととはいえ、シーマにとって強烈なトラウマとなり残ってしまう。

 そして、一年戦争でジオン公国が敗れると、彼女たちもアクシズへの亡命を希望したが、アサクラ大佐の裏切りにより受け入れを拒否される。さらに、先の戦争で故郷のマハルも戦略兵器ソーラ・レイに改造されてしまっており、彼女たちは完全に行き場を失い宇宙の海賊として生きることを余儀なくされた。

 その後、行き場を求めてジオン軍の残党勢力“デラーズ・フリート”に合流。独自のパイプを作り交渉や裏切り、ときには武力を使い、安住の地を求め奔走し狡猾に生き続けた。

 第12話「強襲、阻止限界点」の「アタシは故あれば寝返るのさ!」のセリフは、連邦軍と裏で繋がっていたシーマがエギーユ・デラーズを裏切った際のもので、まさに彼女の生き方を象徴しているように感じる。

 最後はガーベラ・テトラに乗り、本作の主人公、コウ・ウラキのガンダム試作3号機と交戦。壮絶な戦いの末、絶命した。

 シーマは力強くカッコいい女性であった一方、“宇宙の蜉蝣”と称されるように安住の地を求め宇宙を彷徨い、そして散った。その姿はまさしく“蜉蝣”のようで、どこか儚さを感じる女性でもあった。

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