■話すよりも殴り合いで和解!? ビンタが友情の証

 昭和の時代はテレビドラマでも友人同士が殴りあうようなシーンも多かった。例を挙げると、1984年に放送されたラグビーをテーマにした青春ドラマ『スクール・ウォーズ』では、教師が“俺はこれからお前たちを殴る!”と言い、生徒との絆を深めるようなシーンが登場している。

 少女漫画にもこれに似たようなシーンがある。大和和紀氏の『はいからさんが通る』では、主人公の花村紅緒を巡って、フィアンセの伊集院忍と紅緒の上司の青江冬星がライバル関係にある。

 最終的には忍が紅緒と結ばれることになるのだが、その際、話がしたいと冬星を追いかける忍。それに対し冬星は「どうしても話したいというのなら…」と、忍に思い切りパンチを食らわす。それに対し忍も同じように殴り返し、最後は和解するのであった。

 また、殴り合いで関係が修復されるのは男性同士だけではない。浦野千賀子氏による『アタックNo.1』では、主人公の鮎原こずえと同級生の早川みどりがチームのキャプテンを巡り、激しく火花を散らす。

 姑息な手段を使ったみどりは最終的にこずえに謝り、“私が間違っていた、気のすむまでわたしのほおをぶって”と伝え、こずえは思い切りみどりの頬をビンタする。そして殴ったあとは「これでわたしたちほんとうのチームメイトになれるわね」と手を取り合い、和解するのであった。

 

 今回紹介した昭和ならではのファッションや文化は、今ではほとんど見かけなくなった。とくに“殴りあうことで友情を深める”といった考えはほぼなくなり、SNSなどのツールも使いつつ、話し合うことが重要とされている。

 しかし考え方や文化は時とともに変化するもの。いずれ時代が変わったら、令和初期の考え方や文化に異論が唱えられているかもしれない。そう考えると、昭和に見られたあるある文化や考え方も、“絶対に変”だとは言い切れないだろう。

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