よく見るとオリジナル展開がいっぱい?『SLAM DUNK』原作漫画とテレビアニメの「大きな違い」の画像
『SLAM DUNK』Blu-ray Collection VOL.1(東映ビデオ) (C)井上雄彦・アイティープランニング・東映アニメーション

 1990年から1996年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された、井上雄彦氏のバスケットボール漫画『SLAM DUNK』。2022年12月には映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、2023年の国内興行収入で1位を獲得し、原作終了から約27年ぶりに社会現象とも言える大ヒットを記録した。2月28日に発売となった同映画のBlu-ray/DVDで、再び「山王工業高校」との試合の感動を体感している人も多いのではないだろうか。

 1993年から放送されたテレビアニメは、インターハイが始まる直前で終わっていた。また、週刊少年漫画を原作とした当時のテレビアニメでは珍しいことではなかったが、原作では登場しない「アニメオリジナル」のキャラの登場や展開が『SLAM DANK』でもよくあり、久々に原作を読み返したときに「あれってアニオリだったんだ」と気づくことも多々ある。

 今回は、そんな『SLAM DANK』でもあった、「アニメ版と原作の違い」について見ていこう。

■ゴリ直伝の極意!桜木花道の「眼で殺す」作戦

 まずはアニメ第34話で登場した「眼で殺す作戦」だ。インパクトが強いエピソードのため、原作でも描かれていそうだが、実はこれは“アニオリ”である。

 地区予選3試合目の高畑戦を2日後に控え、紅白戦に励んでいた湘北メンバー。2試合連続で退場処分を受けていた主人公・桜木花道は、どのように試合で立ち回るべきか、主将の赤木剛憲に相談するため練習後に彼の家に向かう。そして翌朝、赤木晴子と朝練中の花道の前にあらわれた赤木が、ディフェンスの極意として「相手の動きを眼で殺す」ことを教えたのだ。

 これは「ガムシャラに当たっていくよりはまし」という理由で赤木が教えた嘘なのだが、花道は全面的に信じ、街中でチンピラに“ガンを飛ばす”などして「眼で殺す」練習に励む。

 だが、眼の使いすぎで疲労し、翌日の大切な試合に寝坊したうえに実際の試合では通用しなかった。翔陽戦でも、高野昭一とのマッチアップで「眼で殺す作戦」を実行した花道。もはや眼で殺すと言うより威嚇だったが、怯んだ高野はトラベリングをしてしまう。

■「じゃあな、スポーツマン」鉄男の漢気

 続く35話「男たちの熱き想い」も、アニメオリジナルの展開だ。これは、高畑戦の試合会場に向かっていた三井寿が、かつての仲間である鉄男が不良たちにボコボコにされているのを目撃するというエピソード。このときに鉄男を殴っていた竜は、湘北高校体育館に乗り込んだメンバーのひとりで、流川楓にタイマンを挑んだ人物。いわば彼もまた元仲間であるが、止めに入った三井を見て、竜は「何のこのこバスケ部に戻ってスポーツマン面してんだ」と三井にも暴力を振るい始める。

 安西先生との約束がある三井は許しを請うが、鉄パイプで手を潰されそうになってしまう。そこに寝坊した花道が通りかかり、さらに一触即発の雰囲気に。だが、木暮公延らの願いを思い出した花道も手を出さずに我慢する。 

 そのとき、颯爽と現れたのが水戸洋平たち桜木軍団だ。鉄男と桜木軍団は花道らを「早く行かないと試合に遅れるぞ」と逃がし、竜らとやりあうために共闘する。

 そして、「鉄男……」と声をかける三井に対し、鉄男は、「じゃあな、スポーツマン」と静かに笑うのだった。原作でも描かれる鉄男のこのセリフは、アニメ第33話で登場しており、アニメでは2度に渡って重ねて使われている。アニメオリジナル展開によって、三井との友情がより深く感じられるエピソードとなっている。

■熱き友情!旅費を稼ぐために奮闘する桜木軍団

 このように、原作ではなかなかスポットが当てられないサブキャラが、メインとなって活躍することが多いアニオリ展開。アニメ第92話「男の友情!? 桜木軍団」は、前述の第35話でも活躍した「桜木軍団」がメインとなったエピソードで、インターハイ試合会場の広島県への旅費を稼ぐため、彼らが海の家でバイトをすることになる。

 真面目に働く彼らではあったが、初給料をパチンコ代やバイクの修理代で使い切ってしまいピンチに陥る。そして落ち込んでいるところに海の家の主人たちから「台風から建物を守ったら給料4倍」との提案があり、遠征のためにボロボロになりながらも任務を全うする桜木軍団。しかし、合宿費の提出を忘れていた花道に給料を奪われてしまうのだった。

 以降は原作と同じで、花道は安西先生と居残りシュート合宿をすることになる。

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