1980年代はラブコメ少年漫画・アニメの全盛期だ。それまで“熱血”と“ギャグ”が多かった少年漫画も80年代に大きく多様化した。ラブコメもその一つであり、たくさんの名作がこの時代に生まれている。
そこで今回は、1980年代「ラブコメ少年漫画・アニメ」でありがちだった“あるあるシチュエーション”をピックアップして紹介したい。読者としては、妄想しても現実では決して叶わないような羨ましいものばかりだ。
■主人公・ヒロインが転入してきがち
“主人公もしくはヒロインが転校生”なのは、ラブコメ漫画の定番だろう。
1984年から連載がはじまった、まつもと泉さんの『きまぐれオレンジ☆ロード』(『週刊少年ジャンプ』(集英社))では、主人公・春日恭介が新しい街に引っ越してきたところから物語が始まる。
恭介が新しい街を散策しているところ、麦わら帽子を風に飛ばされた美少女・本作のヒロイン、鮎川まどかと出会うシーンが印象的だった。そして高陵学園中等部ではさっそくトラブルに巻き込まれ、まどかからビンタを喰らうという忙しい転入初日を迎えることとなる。
また、1981年から連載された三浦みつるさんの『The・かぼちゃワイン』(『週刊少年マガジン』(講談社))の主人公・青葉春助も、サンシャイン学園中等部にきた転校生という設定だ。春助の場合は、転入早々ヒロインの“エル”こと朝丘夏美とイイ感じになっていたのが実に羨ましい。
ちょっと変化球だったのが、1980年から連載された岡崎つぐおさんの『ただいま授業中!』(『週刊少年サンデー』(小学館))。新米教師であるヒロインの一文字愛が、菜美野中学校に教師として赴任してくるところからはじまる。そんなパターンもあった。
■ヒロインがお隣さん、共同生活しがち
“ヒロインがお隣さん”というのは、ラブコメ少年漫画のあるあるでまさに憧れのシチュエーションだ。
1981年から連載されたあだち充さんの『タッチ』(『週刊少年サンデー』)では、双子の上杉兄弟のお隣さんとして、ヒロインの浅倉南が登場する。上杉家と浅倉家は家族ぐるみの付き合いで仲が良く、互いの敷地の真ん中に勉強部屋を作るほど。その部屋でさまざまなドラマが生まれた。
『タッチ』のような、“美少女がお隣さん”のシチュエーションも十分羨ましいが、1980年から連載されたあだちさんの『みゆき』(『少年ビッグコミック』(小学館))もまたドキドキするようなシチュエーションだ。
こちらは、ヒロインと同じ屋根の下に一緒に暮らす共同生活パターン。血の繋がりはないがお兄ちゃん想いのかわいい若松みゆきは、まさに理想的な妹だった。海外生活が長いせいか自由奔放な性格で、下着姿や水着姿で家をうろつくシーンも多かった。
そのほか、江口寿史さんの『ストップ!! ひばりくん!』(『週刊少年ジャンプ』(1981年から連載))では、主人公・坂本耕作が母との死別を機に大空家の一員となり、大空ひばりと共同生活をはじめることに。また、1981年まで連載された柳沢きみおさんの『翔んだカップル』(『週刊少年マガジン』)では、主人公・田代勇介は不動産屋の手違いからヒロイン山葉圭と共同生活する流れとなっていた。