■FFシリーズ「映画的演出」の集大成

 そもそも『ファイナルファンタジー』(以下、FF)は、ファミコンでの第1作目(1987年発売)から2023年リリースの最新作まで、16タイトルを重ねてきたRPGシリーズ。その最大の特徴は、「映画的な演出」にあると、筆者は思っています。

 たとえば、ドット絵の時代から、主人公が基本しゃべらず、プレイヤーの想像力に委ねる『ドラゴンクエスト』とは対照的に、『FF』は登場人物によるドラマを見せるという演出でプレイヤーを惹きつける手法を採用してきました。(※ただし、初代『FF』の主人公はしゃべりません。)

 そして、「FFと言えばムービー」というイメージを確立したのが、オリジナル版の『FF7』です。シリーズ初となる、プレイステーション用に制作された作品で、その高いハード性能やCD-ROMという媒体を活かして、当時としてはリアルな3DCGアニメーションでイベントシーンを表現し、ファンを驚かせました。

 PS5でリリースされたシリーズ最新作の『FF16』に至っては、主人公を操作して移動したり戦ったりするパートと、ムービーによるイベントシーンとの境が溶け合い、全編が一連のイベントのような感覚で展開されていく……と言っても言い過ぎではないほど。

 では、今回の『FF7リバース』はというと、映画的な手法を用いたゲームエンターテインメントとして、ひとつの頂点を極めていると感じました。オリジナル版の開発時に、理想として描いていた形が、本作で実現されたのではないでしょうか。

『FF16』と比較すると、イベントシーンとゲーム本編との境界は、よりクッキリしている印象です。でも逆に(?)それがいい。むしろ、RPGとしてのフィーリングをしっかり味わうことができました。戦闘や移動のシステムは、オリジナル版と『FF7リバース』とでまったく違いますが、それでも昔ながらのRPGらしさが感じ取れ、オリジナル世代にも遊びやすいと思います。

 そして、イベントシーンで流れるムービーは、ヒロインの表情や演技がひたすらチャーミング! 触れたくなるような肌の質感にも驚きましたし、彼女たちにただただ惹きつけられます。

 筆者が惹かれた“彼女たち”とは、茶髪で積極的なエアリスと、黒髪で奥手な面もあるティファのこと。それぞれが主人公に向けるまなざしや、ヒロイン同士の友情がキレイに描かれている(ドロドロしない!)のが尊く、うっとり……。

 寡黙な主人公と、ヒロイン2人との「関係性」にも引きつけられました。そうそう、3部作の第1作目である『FF7リメイク』で活躍した、「ジェシー」という準ヒロインも好きだったなぁ……。

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