■透き通るような肌、放っておけない存在でヒロインから愛されたプリンス『ジョージィ!』ロエル・J・グレイ

 病弱な体で愛されたのは女子だけではない。作画いがらしゆみこ氏、原作井沢満氏による『ジョージィ!』では、体の弱い美しいプリンスが登場する。

 主人公のジョージィは、義兄のアベルとアーサーとともに元気に育った少女。義兄は2人ともジョージィのことを愛しているが、ジョージィが一目ぼれしたのはロエル・J・グレイ。病弱で体の線が細く、肌の白い美しい有名大佐の孫息子であった。

 やがて2人は恋に落ちるものの、周囲の反対もあって駆け落ちする。しかし体の弱いロエルは逃亡中咳が止まらず、おまけに雨で体も冷えてしまう。途中小屋を見つけて入るのだが「変なにおいがするし気味が悪いよ 外にいるほうがまだましだ」と言い、ピンチな場面なのにプライドを捨てられない場面もあった。

 正直、ロエルはかなりのイケメンだが、働けないほど体が弱く、そのプライドの高さもあってジョージィが苦労するのは目に見えていた。しかしジョージィは常に“私が何とかする!”といったスタンスでロエルに尽くすので、言い方は悪いが“ダメンズ”が好きなタイプなのかもしれない。その後駆け落ちした2人を待ち受けていたのは、やはりなかなかうまくいかない現実であった。

 

 まだ医療の進んでいない昭和の時代には、結核をはじめとした慢性的な病気も多く、若くても体の弱い人は多かった。

 今回紹介した作品はそんな時代背景もくみ取り、主人公たちのライバルや恋人の設定として取り入れられているのが印象的だ。その時代の人々の生活や苦労を思いつつ、昔の少女漫画を読み直してみるのも面白いだろう。

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