『ハイキュー!!』海信行に『SLAM DUNK』高砂一馬も!スポーツ漫画でチームを支える「地味な“いぶし銀”キャラ」たちの渋い活躍の画像
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(C)2024「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社

 スポーツ漫画では、主人公やチームのエースプレイヤーの華々しい活躍が描かれるが、チーム競技においては、一見目立たない選手の影での活躍が重要となる。漫画においても、彼らは「チームの土台」として描かれることが多く、このようなキャラがいないとチームとして成り立たない可能性もあるほどだ。

 そこで今回は、スポーツ漫画に登場する「一見地味だが活躍するいぶし銀キャラクター」たちを、名シーン&名セリフとともに振り返ってみたい。

■クセ強メンバーのまとめ役!キャプテンも頭が上がらない?

 最初に紹介するのは、古舘春一氏による人気バレーボール漫画『ハイキュー!!』に登場する、海信行。彼は、主人公・日向翔陽が所属する烏野高校のライバル校である音駒高校のバレーボール部に所属するウイングスパイカーだ。

 音駒は「護りの音駒」と呼ばれるほど守備に重きを置いたチーム。海はその中でも派手な能力を持たない“安定したプレイ”をすることが特徴の選手で、春高の烏野戦では、緊張するはずの試合開始直後、烏野・影山の強烈なサーブを完璧にレシーブしてみせた。

 また、戸美学園戦で1年生の灰羽リエーフが少し自分勝手なプレイをし始めたとき、キャプテンの黒尾鉄朗が「調子を上げているからリエーフのやりたいようにすべきか、自分勝手なプレイを注意すべきか」と悩むシーンがあった。ここで副キャプテンである海が、黒尾の悩みを察し「あいつが多少勝手したって音駒は崩れたりしないよ」とアドバイス。黒尾の悩みをさりげなく解決に導いた。このようにチーム全体はもちろん、黒尾の気持ちをフォローして陰ながら支えるという、高校生離れした人間力の大きさを見せるキャラでもある。

 バレーの試合では、得点を決めるスパイクや相手のそれを止めるブロックが派手で迫力もあるが、レシーブでボールを拾うことの重要性を分かりやすく読者に伝えたのが本作の魅力のひとつ。音駒はチーム全体がレシーブ力の高いチームだが、全編を通して守備専門のポジションであるリベロ・夜久衛輔と海のレシーブが目立つ。地味ながらも、後から振り返りたくなるような名シーンが多く、チームに欠かせないプレイヤーだ。

 なお、2月16日から公開となった映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』では、ついに烏野vs音駒の因縁の対決が描かれる。海の活躍も描かれているため、ファンは必見だろう。

■やる気がないのが信条?楊枝を捨てたときが本気

 作中でも実況アナウンサーから「いぶし銀」と評されたのが、高橋陽一氏によるサッカー漫画『キャプテン翼』シリーズに登場するヘルマン・カルツ。ドイツのクラブチーム・ハンブルガーSVに所属し、ドイツ代表に選ばれるほどの選手で、木枯し紋次郎さながらに、いつも楊枝をくわえている。ポジションは守備寄りのMF・ボランチを務める。同クラブチームのカール・ハインツ・シュナイダーや若林源三と仲が良く、ハンブルガーSVを支える。

 イケメンが多い本作では珍しく、キャラデザインはどことなく3枚目風。さらに、一人称が「わし」で「おぬし、やるのぉ」という発言から、かなりクセが強い。プレイスタイルはどこかひょうひょうとし、パッと見ではやる気を感じない。しかし、実際はチームの司令塔をこなせるほどのテクニシャンで、FWのシュナイダーに的確なパスを出す仕事師だ。

 作中では「Jr.ユース編」で登場し、ドイツ代表として主人公・大空翼率いる日本代表と戦った。日本代表を「強敵」と考えたカルツは、終盤で楊枝を吐き捨て、普段からは想像できないプレイで日本代表を苦しめた。

 特に、印象的なのはカルツの「ロビングシュート」だ。ロビングシュートとはループシュートとも言われる、山なりのシュート。日向小次郎のタイガーショットやシュナイダーのファイヤーショットのような高威力のシュートが『キャプ翼』では目立つなか、ゴールキーパーの頭上を越すテクニカルなシュートは仕事師カルツならでは。残念ながら得点にはならなかったが、日本代表にとってはヒヤリとするいぶし銀なシュートだった。

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