■いい男といえばポルシェに青山レストラン!? 『白鳥麗子でございます!』

 鈴木由美子さんによる『白鳥麗子でございます!』は、1987年から92年に『mimi』(講談社)で連載された人気漫画だ。ちょうどバブル時代に連載されていたこともあり、当時の恋愛模様がよくわかる作品になっている。

 主人公の白鳥麗子はプライドの高いお嬢様。幼いころから同い年の秋本哲也が大好きで両想いになるものの、麗子のプライドが邪魔するなどして2人の関係はトラブル続きだ。

 コミック3巻に登場する第13話「うしろからなぐり隊」では、哲也のことを忘れようとする麗子が、ほかの男性とデートをする。お金持ちそうな彼は麗子のもとに車で駆けつけ、青山の高級レストランに連れていくなど、デートのエスコートも抜かりない。そんな彼を見て麗子は「ポルシェだしぃー」「紳士だしぃー」「青山だしぃー」と、評価するのであった。

 バブル時代の恋愛では、女性が男性に求める条件を“三高(高身長・高学歴・高収入)”と呼んでおり、これを良しとする傾向があった。また“アッシー君”や“メッシー君”といった言葉も流行り、車で女性をエスコートし、ご飯をおごる男性が揶揄されたものである。

『白鳥麗子でございます!』には、このほかにも多くの男性が麗子に一斉告白をしてフラれる『ねるとん紅鯨団』を彷彿とさせる場面や、バレンタインチョコに「好きです」というメッセージを描いて渡す場面など、バブル時代に多かった男女の恋愛模様がたくさん描かれている。

 

 昭和から平成にかけて日本で起こったバブル景気。昭和世代にとっては印象的な時代ではあったが、しかしこの期間はわずか5年にも満たず、まさに泡のように消えてしまった。それでもバブルの時代は日本全体に活気があり、若者の多くは遊びや恋愛に命をかけていたようにも思う。

 今回紹介した作品を読むと、バブル時代の生活や恋愛がよく分かる。読むだけでも当時の活気がもらえる気もするので、ぜひ作品を読んでバブル時代の雰囲気を感じてもらいたい。

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