最近何かと話題なのが、昭和・平成時代に流行ったグッズなどを楽しむ“レトロブーム”だ。とくにバブル時代に流行ったものはとにかくゴージャスで、その見た目や文化は今のZ世代にとっては衝撃的らしい。
バブル時代の雰囲気はスマホを通して写真や動画で楽しむこともできるが、その当時人気だった少女漫画にも多く登場する。今回は昭和から平成にかけて人気を誇った作品から、バブルの時代によく登場した言葉や文化を紹介していきたい。
■バブル期に流行ったOL言葉が満載! 『悪女(わる)』
深見じゅんさんの『悪女(わる)』は、女性向け漫画誌『BE・LOVE』(講談社)で1988年から連載された作品だ。バブル時代を背景に、主人公の田中麻理鈴が社会人としてたくましく成長しつつ、仕事や恋に奮闘する姿を描いている。
そんな『悪女』には、バブル期に活躍したOLたちの懐かしい言葉や文化がたくさん登場する。ストーリー序盤に登場する麻理鈴をライバル視する木村美佐子は、男性社員に対し“友人が外資系の会社から突然とらばーゆした”と相談している。この「とらばーゆ」とは、1980年にリクルートから創刊された女性向け求人・転職情報誌のことを指す。ネットがなかった時代、転職を考える女性の多くは「とらばーゆ」の情報が頼りだった。
また、麻理鈴が“オセロおじさん”と呼ぶ会社の重鎮、沼田総一郎は、麻理鈴のことを「あれはハワイでGALしてマンモスラッチーとかいわんからな」と、評価している。この当時は酒井法子さんの“のりピー語”が流行り「マンモスうれピー」といった独特の言葉が流行っていた。ちなみにこの「ラッチー」とは、「ラッキー」の最上級の意味を持つようだ。
『悪女』にはこのほかにも、バブルに流行った“ワンレンボディコン”ファッションに身を包んだOLや、銀座の高級クラブで初回に飲む金額は最低でも6万円かかるなど、バブル時代ならではのファッションや常識が登場している。この作品を読めば、当時のOL生活を垣間見ることができるだろう。
■ジュリアナ東京のお立ち台が登場!『花より団子』
バブル時代を象徴する文化に「ジュリアナ東京」がある。ジュリアナ東京は、1991年5月から1994年の8月まで東京都港区芝浦にあった、いわゆる“ディスコ”のことだ。
約2千人を収容できる館内には、女性だけが登れる“お立ち台”があった。体のラインが強調される“ボディコン”に身を包んだ“ワンレングスヘア”の女性が、扇子を片手に腰を振りながら踊っていた姿は有名だろう。
そんなジュリアナ東京の様子がよくわかる描写が、神尾葉子さんの『花より男子』にも登場する。1992年に『マーガレット』(集英社)で連載が開始された当時は、まさにジュリアナブームの真っ只中。作品では“ジョリアナ”と呼ばれるディスコが登場する。
コミック5巻で派手にジョリアナの舞台で踊るのが、主人公の牧野つくしを憎む三条桜子だ。桜子は登場当時はつくしの味方のふりをして可愛らしく振る舞っていたが、実はぶりっ子キャラを武器に男を手玉にとっているとんでもない女子高生だ。
作品の中で彼女はジョリアナのお立ち台に立ち、派手なドレスに身を包んで踊り、ほかの女性に対して「ブスが厚化粧しちゃって」なんて言いたい放題やっていた。
『花より団子』は平成初期から連載がスタートした作品であり「ポケベル」や「ガラケー」など、懐かしいアイテムも次々に登場する。ポケベルを落としたことで恋のトラブルが起きたり、ピンチのときにガラケーで連絡したりと、懐かしのアイテムがストーリーのカギを握っているのにも注目だ。