20年ぶりの続編として1月26日に公開された映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。公開1カ月で興行収入34.8億円、動員数207万人(2月26日時点)と、大ヒットを飛ばしている。
多くの名シーンがある『SEED』シリーズだが、なかでもムウ・ラ・フラガが敵艦のローエングリンを捨て身で防ぎ、恋仲であったマリュー・ラミアスを守ったシーンは印象的だった。何度観ても放送当時と同じ興奮を味わわせてくれる名シーンだ。
今回の映画『SEED FREEDOM』の公開を受け、筆者と同じように過去のシリーズ作品を見返している人も多いだろう。そこで今回は、愛のために命を賭して想い人を守り、はかなくも散ってしまった、歴代『ガンダム』シリーズの“哀しき戦士”たちをピックアップして紹介しよう。
■シャアの心に光明と絶望をもたらした存在「ララァ・スン」
まずは『機動戦士ガンダム』より、ジオン軍のララァ・スンを紹介しよう。
戦争孤児であるララァは、劣悪な環境下で生活していた。そんな折、当時訳ありで地球を放浪していたシャア・アズナブルに見初められ、ニュータイプ研究所の「フラナガン機関」で生活することになる。そして、己の価値を見出してくれたシャアと互いに想いを寄せ合うようになり、やがて優秀なニュータイプとしてともに戦場に繰り出すのだ。
ララァは、同じくニュータイプとして覚醒していたアムロ・レイと戦場で意識を共鳴させるが、その存在がシャアにとっての脅威であると直感的に理解してしまう。アムロの戯言に付き合わせまいと戦いに介入してきたシャアだったが、ゲルググの右腕を落とされ劣勢となった瞬間、ララァのエルメスがシャアをかばうように割って入り、アムロによって貫かれ死亡してしまうのである。
シャアへの愛を貫くことで非業の死を遂げてしまったララァ。その死はシャアの心に深い傷を刻み、アムロとの決戦を運命づける一つの要因となった。
■その身は死すとも愛は死せず「マウアー・ファラオ」
続いては『機動戦士Zガンダム』より、ジェリド・メサを献身的に支え続けたマウアー・ファラオだ。
出会いは連邦軍基地ジャブローにて、核爆発から逃れんとする輸送機にしがみついたジェリドをマウアーが救いあげたことで運命は動き出す。
不器用ながらも実直なジェリドに徐々に惹かれ、ともに戦場を駆け巡る中で愛情が芽生えていく二人。己の足りない部分を埋めるかのように寄り添うマウアーをいつしか想うようになるジェリド。そして、互いを守ろうとする特別な関係へと発展していくのであった。
激化する戦いの中、繰り返し激突するジェリドとカミーユ・ビダン。一瞬の隙を突かれ致命的な一撃を打ち込まれたジェリドは死を覚悟するも、そこへマウアーのガブスレイが割り込み、自らを盾としてジェリドを再び救ったのである。
「守ってみせるって言ったろ……。ジェリド……。」と、最後までジェリドに愛を注ぎ、己のおこないに悔いなしと言わんばかりの美しくもはかない最期を迎えることとなった。