■『デスノート』で個性の強いキャラになりきったカメレオン俳優・松山ケンイチさん
徹底的に役になりきるカメレオン俳優として名高い松山ケンイチさんは、2001年に芸能界に入り、翌年に森本梢子さんの同名漫画を原作としたドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)で、金髪のヤンキー生徒・毛利研一役として俳優デビューしている。
そんな松山さんにとってのブレイクの契機が、2006年に出演した実写映画『デスノート』のL役である。並外れた推理力を持ち、世界一の名探偵と呼ばれる竜崎ことLは、猫背、目の下の濃い隈、爪を噛む癖など、すべてにおいて個性の塊。
松山さんはこの役を演じるにあたって原作に立ち返り、外見から完コピを目指したのだそうだ。その結果、松山さんのLは原作に忠実な完璧とも言える仕上がりになっている。
ちなみに、Lの持ち物で印象的だった「ひょっとこのお面」は実写オリジナルのアイテムで、Lは変なものを持っていそうという松山さんのアイデアを採用したものなのだとか。原作を愛し、Lを理解しているからこそ浮かぶアイデアだろう。
■『バトル・ロワイアル』で魅せた藤原竜也さんの役者魂
1997年にオーディションを勝ち抜いて蜷川幸雄さん演出の舞台『身毒丸』の主演という大役を射止め、俳優デビューを果たしたのは藤原竜也さん。15歳という若さながら臆することなく身毒丸を熱演した藤原さんは、国内のみならず海外公演でも観客を魅了し「彼は天才だ」と絶賛された。
『デスノート』『カイジ』『るろうに剣心』をはじめとする多数の実写化作品に出演している藤原さんだが、知名度を一気に押し上げたのは、18歳の時に出演した深作欣二監督による映画『バトル・ロワイアル』だ。原作は高見広春さんによる小説で、社会現象とも呼べる大ヒットを記録し、2000年に映画化、漫画化などメディア展開されていった。
藤原さんの演技は熱く情熱的で、特に精神的に追い詰められていく様子を表現する声色や表情は唯一無二。「中学生が殺し合いをする」という衝撃的なストーリーが展開される同作における七原秋也役は、その原点とも言えるものではないだろうか。
藤原さんは、悪党にしろ善人にしろ、アクが強い役ほど見事にハマる。いずれの役も、原作キャラに極めて忠実というわけではないかもしれないが、“藤原竜也”の色を出しながらも原作と実写を絶妙にリンクさせることができるのは、藤原さんだからこその才能であり、大きな魅力と言えるだろう。
実写化作品は、原作へのイメージが大きいため賛否が分かれやすい。ひたすら忠実に演じればいいというものではなく、その一方で、改変しすぎると原作の良さが壊れてしまう。今回紹介した俳優たちは、原作へのリスペクトを持ちながらキャラの個性をうまく実写に落とし込み、見事キャリア開花のチャンスをものにしたのだ。