■『ガンダム』ネタ満載の『ケロロ軍曹』
『ジャンプ』以外にもパロディの多い作品はある。
『月刊少年エース』で1999年より連載開始した吉崎観音氏による『ケロロ軍曹』は、作中の細かいところでもパロディが乱舞する作品。
最も多いのは『機動戦士ガンダム』ネタだ。ケロロはガンプラ好きのキャラクターで、2004年から放送されたテレビアニメの第1話のサブタイトルは「ケロロ 大地に立つ であります」。『機動戦士ガンダム』の第1話「ガンダム大地に立つ!!」のオマージュだろう。
『ケロロ軍曹』は、第50回小学館漫画賞児童向け部門を受賞しており、そのかわいらしいキャラクター造形からも子ども向け作品かと思いきや、その実、ガンダム世代ど真ん中の大人こそ楽しめるものだといえる。もちろん子どもやガンダムを知らない人でも楽しめるが、詳しい一部の人はさらに大爆笑できるのだ。
『ガンダム』ネタ以外にも、ちょっとしたフォントや小さいコマに描かれたイラストもさまざまな作品をパロディし放題。『ケロロ』で描かれたパロディの全てに気づくことは到底不可能だろう。
■「セガ」への愛全開だった『異世界おじさん』
近年では、殆ど死んでいる氏による『異世界おじさん』でのパロディも印象深い。
主人公のおじさんは17歳の時にトラックにはねられて昏睡状態に陥り、それから17年後に目を覚ます。だが、眠っていた期間おじさんの精神は異世界へ飛んでいた。
そのため、おじさんは、目覚めた現代の世界でさまざまなジェネレーションギャップに直面するというのがこの作品の面白さでもある。
そんなおじさんが好きなのがSEGA(セガ)のゲーム。原作では登場するゲームのメーカー名や商品名は伏せ字で書かれていたが、2022年にアニメ化された際は固有名詞がそのまま解禁された。
また、オープニングの映像は1990年代のセガのゲームのパロディで構成されており、おじさんが『NiGHTS』っぽく飛んだり、『デジタルダンスミックス 安室奈美恵』っぽく踊ったり、メインタイトルが現われる部分はそのままセガサターンの起動画面と同じになっていたりしている。セガファンであれば感涙モノの演出だ。
ぜひこれらの作品に触れる際にはパロディ元の作品にも触れてほしい。元ネタを知れば、作品をさらにディープに楽しめるだろう。