『ジョジョ』ネタの『太臓もて王サーガ』から『ガンダム』ネタの『ケロロ軍曹』まで…作者の愛がすさまじい「パロディだらけ」のギャグ漫画の画像
角川コミックス・エース『ケロロ軍曹』第3巻(KADOKAWA)

 漫画やアニメでは、別作品の「パロディ」がネタとして散りばめられていることが多くある。それだけパロディ元の漫画が人気が高く、知名度もあるということだ。

 たいていはパロディ元の作品の中でも特に有名なシーンを用いたもので、元ネタに気づいて「ふふっ」と笑えるものが多い。しかし、中には「これは何かのパロディ?」と元ネタがわからないものだったり、あまりにたくさんのネタを詰め込んで元の作品を知らないと面白さが半減してしまうのではと、ついつい心配になる作品もある。今回は、そんな作者の「元ネタ作品への愛」を非常に感じることができる、パロディシーンが作品のメインを占めている漫画を紹介したい。

■リアルタイムでパロディしていった『もて王』のスピード感

 まずは、2005年から約2年にわたって『週刊少年ジャンプ』に連載された大亜門氏による『太臓もて王(キング)サーガ』。女の子にモテるために魔界ならぬ間界からやってきた王子・太臓を中心としたギャグ漫画だ。

 この作品の代名詞とも言えるのが『ジョジョの奇妙な冒険』ネタ。特に『もて王』に登場する「麻仁温子」というキャラクターは、髪形を『ジョジョ』6部の主人公・空条徐倫と同じにしており、彼女が登場する回はジョジョネタが格段に増える。

 あまりのパロディの多さに、第59章では、彼女に感化されてジョジョを読み始めたという読者が増えたらしいことが作者によって明かされている。“ジョジョラー”の彼女を通して、見事『ジョジョ』の布教に成功したと言えるのではないか。

 また、この他にも『もて王』には『ジャンプ』で同時期に連載されていた作品をネタとして使うパターンが多く、元ネタ掲載の数週間後に『もて王』でパロディにされるというケースも。スピード感のあるパロディは「あっ」と声が出るような面白さがあった。毎週『ジャンプ』を読んでいる読者に向けたネタでもあり、新しいパロディの楽しみ方だったと言えるのではないか。

『もて王』連載から数年後、似たポジションに2020年より連載されている宮崎周平氏による『僕とロボコ』が君臨している。メイド型ロボット・ロボコを中心に巻き起こるハチャメチャな物語で、こちらも『ジャンプ』パロディが多い。

 1話ではロボコのヒザが、『ドラゴンボール』に登場するナッパのヒザに似ているというネタがあり、2022年に行われた「ジャンプフェスタ」では、海浜幕張駅で実際に「ロボコとお揃いの膝ステッカー」が限定配布されたこともあった。

 また『トリコ』や『HUNTER×HUNTER』のシーンを1話使ってパロディするような挑戦的なエピソードも。『ロボコ』のすごいところは、作画すらパロディ元に合わせて大きく変えている点だろう。

 コミックスの表紙は各巻が人気作品のパロディになっており、コミックス1巻は『ドラえもん』、2巻は『ONE PIECE』、3巻は『約束のネバーランド』のジャンプ掲載時の表紙、4巻は『呪術廻戦』、5巻は『僕のヒーローアカデミア』、6巻は『鬼滅の刃』、7巻は『ハイキュー!!』、8巻は『【推しの子】』、9巻は『DEATH NOTE』、10巻は『チェンソーマン』、11巻は『HUNTER×HUNTER』、12巻は『NARUTO-ナルト-』、13巻は『ワールドトリガー』、14巻は連載中の『SAKAMOTODAYS』、15巻は『Dr.STONE』、16巻は『アオのハコ』となっており、構図も色合いもそっくり。2024年4月4日にはコミックス17巻が発売予定となっているが、今度はどの作品が表紙に選ばれるのか、SNS上で予想するファンの声も多い。

  1. 1
  2. 2