■当初は小物感を漂わせていた? 悪のカリスマキャラ『名探偵コナン』
最後に、毎年新作の映画が公開されるたびに世間を賑わせる人気作『名探偵コナン』にあった「初期設定」を紹介しよう。
「見た目は子ども、頭脳は大人!」というコナンのキャッチフレーズは誰もが知るところではあるが、見た目が子どもとなってしまった理由は“黒ずくめの組織”の幹部・ジンに毒薬を飲まされたことにある。
実行部隊のリーダーとして冷徹さと高い戦闘力を持ち合わせるジンは、そのカリスマ性や刺すような鋭い目つきがかっこよく、いまや悪人ながらも多くのファンを抱えている。
そんなジンだが、連載初期には詳細な性格の設定が定まっていなかったのか、「おらおら、犯人はそのアマで決まりだ!!」と声を荒げたり、近くに警察が来た時には「や、やべ……」と露骨に焦ったりと、今では考えられない小物感を漂わせていたのをご存じだろうか。
現在のクールなジンしか知らない子どもがこの事実を知った時、そのギャップによってさらに愛を深めるのか、それとも蛙化現象によって気持ちが萎えてしまうのか、少々大人げない質問を投げかけてしまいたくなる。
何事も初期の段階では先行きなど予測できないものであり、物事が長期化することによって設定の変更が余儀なくされてしまうことは茶飯事だろう。
今の子どもたちが知らない意外な「初期設定」の知識を披露することは案外、同じ作品を愛していながらどうしても生まれてしまう世代間のギャップを埋めるための重要な架け橋となるのかもしれない。