■クスリと笑える場面や生活の知恵など、つい読んでしまう魅力が満載

『あたしンち』は日常系コメディ漫画であり、ストレスを解消してくれるような笑いの場面も多い。

 たとえば、コミックス19巻に登場するのは、お酒に弱い水島さんの旦那さん。酔っぱらって玄関先で寝てしまい、動かすこともできず困った水島さんは「毛布汚されるのもやだし!!」と言って、旦那さんの体を新聞紙で覆ってしまう。翌朝起きた旦那さんが一言「オレはゲロか!」というシーンに筆者は噴き出してしまった。

 また同巻No.21には“腰湯”という、いわば“半身浴”を行うシーンが登場する。上半身が冷えないためには“45Lのゴミ袋を上半身にかぶる”といったコツも紹介されており、読んでいて「なるほど!」と思えるような生活の知恵も登場する。

 キャラクターはコミカルな二頭身なのに、描かれる生活はとてもリアルで共感できる。等身大の幸せを実感できたり、生活の知識などを取り入れられるのが、この漫画の大きな魅力と言えるだろう。

 

 ファミリーを中心としたほのぼのとするアニメや漫画は多いが、主人公が失敗して教訓を得るといったストーリーも多い。しかし『あたしンち』はごく普通の平均的な一家の日常が面白おかしく描かれており、教訓ではなく、ちょっと脱力できるエピソードが多いのだ。しかも本作はすべて短編なので、どの巻から読んでも楽しめるのも魅力だろう。

『あたしンち』は漫画だけでなく、YouTubeアニメ「あたしンち公式チャンネル」でも楽しめる。日常にちょっとしたユーモアを取り入れたい人にも、ぜひおススメしたい作品だ。

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