少年漫画といえば、「冒険」や「友情」「成長」をテーマにしたバトルやスポーツものの連載作品が多いが、そんな中でとりわけ異質な輝きを放つのが、ちょっぴりエッチな要素を含んでいて、親からコソコソ隠れて読まないといけないような名作たち。
こうした漫画は各年代でそれぞれあり、時代によって過激度合いもバラバラではあるが、昭和時代に少年漫画誌で初めてエッチなシーンを目撃した少年読者は相当驚いたに違いない。今回は、昭和の少年漫画誌に革命をもたらした、ちょっとエッチな作品を振り返ってみたい。
■エッチ描写で『ジャンプ』に革命を起こした『ハレンチ学園』
1968年に『少年ジャンプ(現在の週刊少年ジャンプ)』で連載がスタートした永井豪さんの漫画『ハレンチ学園』。当時では珍しい性的描写をふんだんに取り入れた革命的な作品で、昭和の少年漫画界にセンセーショナルを巻き起こした漫画だ。
物語の舞台は日本中で一番ハレンチな先生だけが集まる「聖ハレンチ学園」。そこで先生と生徒が繰り広げるドタバタコメディだが、先生の規格外ぶりはもちろん、生徒たちの性への欲求が非常にストレートなのだ。
まず、作中に登場する教員は基本的にほぼ裸。原始人スタイルのヒゲゴジラ先生だけでなく、裸のうえにコートとテンガロンハットをかぶり股間に銃を隠す男性もいれば、ビキニトップから垂らした長剣で股間を隠す下半身露出の女性、よだれ掛けをつけ股間に赤ちゃん人形をくっつけておしゃぶりを咥えている女性など、性別問わずなんでもアリの出で立ちだ。
女子生徒は、だいたいが主人公・山岸八十八ら男子生徒と先生たちからのターゲットで、襲われてパンツ一丁姿にさせられたり混浴でヌードにされたりと派手な攻撃を受ける。
作中で最も話題に上がったのが、当時社会現象になった「モーレツごっこ」ことスカートめくりだろう。以前から子どもたちの間で流行っていたこのいたずらを『ハレンチ学園』で描いたことで、大人にも幅広く知られることとなった。
“風呂覗き”も同様で、その後のギャグ漫画やラブコメ漫画からするとエッチではないが、当時は少年漫画でこのようなシーンはほぼなかったため、相当インパクトが強かったことは間違いない。今振り返れば『ハレンチ学園』は男女の艶めかしい絡みはなく、小中学生がドキドキするような性描写に留まっている。
しかし当時としては相当刺激的だったはずで、『少年ジャンプ』編集部にはPTAや教育委員会からの猛抗議が寄せられ、当時20代前半の若手漫画家だった永井さんが、ワイドショーの番組に引っ張り出されるという事態まであった。
インタビューでは、そうした抗議を受けるたびに編集者ともケンカをしていたと語っている永井さんだが、後に『月刊少年ジャンプ』でスタートしたヒーロー漫画『けっこう仮面』では、さらに内容は過激に。顔を隠して体を隠さない謎の少女「けっこう仮面」による必殺技「おっぴろげジャンプ」など、『ハレンチ学園』どころではない描写の連続で、先駆者として、その後の『月刊少年ジャンプ』連載作品への影響も相当大きかったことは間違いないだろう。