■地獄の業火に焼かれる主人公『魔女っ子メグちゃん』

 こうした魔法使いの「自己犠牲」は昭和時代にもあり、なかなかに衝撃的なものもあった。

 最後は東映魔女っ子シリーズの第7作『魔女っ子メグちゃん』を振り返りたい。1974年から放送が始まった同作は、魔界の女王候補のメグが人間界に降り立ち、神崎家のもとで笑いあり涙ありの生活をしながら絆を深めていく物語。パンチラや下着姿といったお色気シーンもあり、子どもたちの中にはドキドキしながら見ていたという人も多いはず。

 そんな同作でもっとも衝撃的だったのは、メグが丸焦げになってしまった49話「風車のうた」のエピソードだろう。

 これは、植物園で出会った老女のためにメグが禁忌をおかしてしまう話。その老女は実は地上に追放された元女王候補の魔女であり、娘である女の子・ミミと離れ離れになっていた。メグはその話を知り、なんとか二人を引き合わせたいと、もう一度魔界に戻れるように「水の魔法」を教え、魔界の禁忌に触れてしまうのだった。

 魔界の検察官はメグを捕まえて周りを火で囲み、罰を与えた。検察官は、謝罪と反省で見逃すと提案するが、メグは「親子が会うのは正しい」という考えを貫き、屈しない。そして検察官は怒り、メグを“地獄の業火”で焼く極刑を下すのだが、このシーンがかなりのトラウマもの。炎が消えた後で目に飛び込んでくるのは丸焦げになったメグの哀れな姿だった。 

 結果的には、メグの真心に免じて魔界の女王がメグを蘇らせ、老婆と娘もともに人間界で暮らせるようになるというハッピーエンドを迎えるが、女児がメイン視聴者であるアニメで、ごうごうと燃える火の中で苦しみながら息絶えていく主人公の姿は、かなりショッキングな映像と言えるだろう。

 どの主人公の自己犠牲も、誰かを守りたい、助けたいという強い気持ちに突き動かされて行われたものだ。罰を受けるとわかっていてもなお、自身の痛みや苦しみよりも他者の幸せや命を想うその姿勢には胸を打たれてしまう。

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