『北斗の拳』シンや『ジョジョ』のディオも…ヒロインから“痛烈な拒絶”を受けたジャンプバトル漫画のヒールキャラの画像
『北斗の拳』究極版 第2巻(コアミックス)

「主人公が好きなヒロインを横から奪い取り、自分のものにしようとする」これは往年の悪役キャラあるあるのひとつだろう。両想いのカップルを引き裂こうとする身勝手さたるや、すさまじい行動だ。

 そんな悪役に対し、「あなたなんて大嫌い!」とヒロインが言い返すのも定番だが、なかにはとんでもない行動で拒絶した者もいる。大人になってからそういう展開を見ると、むしろ悪役に同情してしまうこともしばしばだ。

 今回は、ヒロインから強烈すぎる拒絶をされた悪役キャラを紹介しよう。

■本当は善人だったのに…『北斗の拳』シン

 まずは、『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)のシンだ。主人公・ケンシロウの胸に北斗七星の傷をつけ、許嫁のユリアを奪った因縁のライバルである。『北斗の拳』がただのバトル漫画でなく、愛に迷う者たちの物語だと強烈に印象付けた名悪役だ。

 本編から1年前、ふたりで旅に出ようとしたケンシロウとユリアの前に立ちはだかるシン。「おれは昔からユリアが好きだった」と語る彼をユリアは気丈に睨みつけひと言。

「わたしは あなたにそう想われていると知っただけで死にたくなります」

 好きな人にここまで言われれば、ひ弱な現代人は立ち直れそうもないが、そこは暴力が支配する世紀末の男、シン。なんと「ますます好きになる」と言い返し、ケンシロウからユリアを強奪するのであった。ユリアに無理やり愛を誓わせるシーンは、何度見てもひどい。

 ここまでなら憎たらしい悪党でしかないシンだが、のちに“ジャギにそそのかされてユリアを奪った”、“ユリアを守るためにあえてユリア殺しを騙る”など、本来はユリアを心から愛する善人だったことが明かされた。

 それをふまえたうえで想い人から「死にたくなります」と言われたシンの気持ちを考えると……なんともいたたまれない。

■お前の唇は泥水以下だ! 『ジョジョの奇妙な冒険』ディオ・ブランドー

 荒木飛呂彦氏が手掛ける長編バトル漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)随一の悪役、ディオ・ブランドーもヒロインに拒絶された有名なエピソードがある。

 第1部で裕福なジョースター家の養子となったディオは、家を乗っ取るために実子のジョナサン・ジョースターを徹底的にいじめ抜く。ジョナサンの完璧に心を折ってやれば、ディオが跡取りに選ばれるからだ。

 しかし、ジョナサンには心の支えとなるガールフレンド、エリナ・ペンドルトンがいた。彼女の存在を察したディオは、なんと往来でエリナに無理やりキスをする暴挙に出る! コマいっぱい描かれた“ズキュゥゥゥン”や「初めての相手はジョジョではないッ! このディオだッ!」というセリフはあまりにも有名だろう。

 ディオの非道にショックを受けるエリナだが、そこはジョナサンのガールフレンド。涙を流しながらも道に溜まっていた泥水で唇をすすぎ、ディオへ明確な拒絶の意思を示すのだ。この行動にはディオも激昂し、怒り心頭でその場を去ってしまう。

 あえて泥水で洗うほど、ディオの口づけはエリナにとって汚らわしいものだったわけだ。もちろん100%悪いのはディオなのだが、「あなたのキスは泥水以下だ」と行動で示されるのは、さすがにかなりキツい気がする……。

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