『週刊少年ジャンプ』(集英社)が最高部数653万部を発行したのが、1994年末だ。しかし、ここから『週刊少年マガジン』(講談社)の猛追によって、1997年には発行部数が逆転。1996年〜1998年にかけては、“ジャンプ低迷期”とも言われたほどである。
ただ、今から30年前の1994年、黄金期に連載をスタートさせて、低迷期を陰ながら支え続けた名作漫画も少なくない。今回は、そんな名作たちを振り返ってみよう。
■長期連載にも発展…明治時代を身近に感じさせた『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー』
1994年19号からスタートしたのが、和月伸宏さんによる『るろうに剣心 ー明治剣客浪漫譚ー』だ。現在は『ジャンプスクエア』で、続編となる北海道編が連載されている。
青年誌を含め、幕末を描いた漫画は多くあるが、明治時代に突入してからのストーリーは意外だった。歴史好きの筆者にとってこの時代背景であること自体嬉しかったものだが、作品もとても面白い。主人公・緋村剣心は抜群の強さなのだが、彼に匹敵するほどの強者たちも多数登場する。
筆者の好きなキャラはやはり斎藤一だ。一般的な知名度は、新撰組でも4番手以降かもしれない。しかし、同作品の影響で筆者の知人たちの中でも1番人気となっていたな。その後実写化され、映画が公開されたときには、江口洋介さんがくわえタバコで牙突を繰り出す姿に痺れたものだ。
1999年43号で連載が終了しているが、ジャンプ低迷期を長年支えた作品だったといえる。
■ファミコンゲームを意識させてくれた…ブラジルでの翼の活躍を描いた『キャプテン翼 ワールドユース編』
1994年18号からスタートしたのが、高橋陽一さんの『キャプテン翼 ワールドユース編』だ。新キャラの葵新伍が登場し、ファミコン版『キャプテン翼2』に登場するカルロス・サンターナが本作でも主人公・大空翼のライバルとして対決する。
当初は葵を主人公としてスタートするのかなと思ったが、やはり翼がいないとはじまらない。それにしても、カルロスの登場は素晴らしかったな。ファミコン版が名作だっただけに、ゲームファンも嬉しかっただろう。ロベルト本郷がブラジル代表を率いるなんて、原作ファンやゲームファンもたまらない。
連載は1997年37・38合併号で終了する。ちょっと急ぎ足なストーリー展開になってしまった感もあったが、初期『キャプテン翼』に登場しなかったオランダ代表やブラジル代表との対決が見られて、毎回楽しみにしていた。
あれから30年。2024年4月で『キャプテン翼』の連載は終了してしまうが、不朽の名作としてこれからも多くのファンの心に残り続けるだろう。