『キン肉マン』キン肉アタルに『ジョジョ』虹村形兆も…あえて憎まれ役に!? ジャンプ漫画に登場する“弟を守って散った”兄キャラたちの画像
『NARUTO-ナルト-』 疾風伝 忍界大戦・サスケとイタチ 5 [DVD](アニプレックス)

鬼滅の刃』の炭治郎と禰豆子、『呪術廻戦』の脹相と悠仁など、アニメや漫画ではしばしば兄弟姉妹が登場する。関係こそさまざまだが、いずれも弟妹のことを想い奮闘する姿には感動させられてしまう。

 そこで今回は、あえて憎まれ役になった兄キャラたちに焦点を当ててみたい。愛情表現こそ下手だったが弟を守って最期は散ってしまう……そんな美しくも切ない兄たちを見ていこう。

■真の友情パワーを伝授『キン肉マン』キン肉アタル

 まずは、ゆでたまご(原作担当:嶋田隆司氏、作画担当:中井義則氏)の『キン肉マン』から、キン肉アタルを紹介する。

 アタルは、正義超人の名門・キン肉王家の長男。両親のスパルタ教育に耐え切れなくなり幼い頃に家出しているが、皮肉にもその結果、若くから超人としての才能を開花させた作中屈指の実力者でもある。

 家出後、自分の反動で甘やかされて育てられる実弟・キン肉スグル(キン肉マン)を陰から見守りつつも、正義超人たちの友情が一人では何もできないただの馴れ合いになりつつあると感じ、危機感を募らせていた。

 そして、スグルの火事場のクソ力が邪悪神によって封印されたことを知ると、“真・友情パワー”を伝授すべくキン肉マンソルジャーに成りすまし、キン肉星王位争奪サバイバル・マッチに参戦。スグルの前に大きく立ちふさがる。

 コミックス30巻、名古屋城で行われた王位争奪サバイバル・マッチ準決勝で、キン肉マンソルジャーことアタルは、キン肉マンスーパー・フェニックスを勝利目前までいったが、横槍が入りキン肉マンスーパー・フェニックスの“マッスル・リベンジャー”を掛けられてしまう。死期を悟ったアタルはスグルに「キン肉王家三つの心得」を残し、絶命した。幸いにも、王位争奪戦後にスグルの“フェイス・フラッシュ”で復活するのだが……。

 続編の『キン肉マンII世』では、全盛期と比べると衰えてしまったスグルに対して、現役バリバリのたくましい肉体を披露していたのも印象的だ。

■復讐の対象になって生きる力を与えた『NARUTOーナルトー』うちはイタチ

 次は、岸本斉史氏の『NARUTOーナルトー』から、うちはイタチを紹介する。

 イタチは木ノ葉隠れの最強血族である“うちは一族”に生まれ、その中でも突出した才能を持ち、実弟であるサスケにとっても憧れの存在だった。しかし、突如彼らの両親を含むうちは一族全員を殺し里を抜け、敵組織・“暁”の一員になるという大罪を犯す。

 しかしその裏には、イタチと限られた人間だけが知る極秘任務があった。実はイタチは、クーデターを起こそうとしていたうちは一族全員を抹殺することで戦争を防いでいたのだ。

 里を抜ける際、「…愚かなる弟よ……このオレを殺したくば 恨め! 憎め! そしてみにくく生きのびるがいい」「…逃げて 逃げて…生にしがみつくがいい…」と、サスケの復讐心を煽るような言葉を残したイタチ。これも一族ごと家族がいなくなり孤独になってしまった弟のため、復讐の対象になってでも生きる理由と力を与えたかった兄の愛であった。

 幸か不幸かそれを知らないサスケは、イタチに復讐することだけを目標に強くなり、最終的にはうちはの聖地にてイタチと対決することとなる。このときもイタチは“最も親しい者を殺すことで開眼する万華鏡写輪眼”をサスケに与えようと、あえて自分を殺させている。

 その後、第四次忍界大戦でイタチは薬師カブトの穢土転生によって強制的に甦るが、その制御から逃れ、サスケと再会し、念願の兄弟共闘でカブトを倒した。コミックス62巻では「お前はオレのことを ずっと許さなくていい…お前がこれからどうなろうとオレはお前をずっと愛している」という言葉を残し、消えていった。

 死者を蘇らせて利用するなどあまりいいイメージのない穢土転生だが、このときだけはうちは兄弟のためにいい仕事をしていたと思う。

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