1999年から2001年にかけて日本テレビ系で毎週木曜日に放送された『週刊ストーリーランド』を覚えている30代以上の読者は多いだろう。
同番組は、視聴者からの投稿や短編作品などを元に制作されたアニメを、毎週3〜4本オムニバス形式で放送するというスタイルで人気を博したバラエティ番組。高額賞金も出たため、我こそはとネタを投稿した視聴者もいるだろう。
アニメで扱うジャンルは、オカルトや今で言う「ヒトコワ」のようなホラー系の話や、恋愛などなど幅広かったが、中でもどんでん返し系ストーリーでは、『笑ゥせぇるすまん』や『世にも奇妙な物語』のようなモヤモヤ感と恐怖感が残るものが多く、視聴者にトラウマを植え付けた。
そこで今回は、多くのエピソードの中から特に衝撃的だったものをいくつか振り返ってみたい。
■二転三転するストーリーに驚いた「見えない隣人」
『週刊ストーリーランド』はホラーの良作がそろった番組で、多くの視聴者の記憶にトラウマを植えつけた。たとえば「見えない隣人」のエピソードがそうだろう。
とあるアパートに引っ越し、毎日部屋でギターの練習をしていた黒川という男が、誰も住んでいないはずの隣室から奇妙な音がすることに気がつく。アパートの住人とともに部屋を覗くと、そこには首吊り死体が。しかし、この死体は黒川にしか見えておらず、怖くなった黒川はアパートを出た。
実は一連の出来事はすべて黒川のギターの騒音に怒った住人たちのフェイクによるもので、本当は怪現象などなかった。……という話だが、番組恒例の「どんでん返し」はここから。
満足気な住人たちが大家に黒川のことを報告すると、大家から「黒川さんは少し前に事故で亡くなっている」と衝撃の事実を告げられるのだ。怪現象を使って追い出したハズの黒川が実は幽霊で、怪現象にあっていたのは住人たちだったという意外なオチは、今でも忘れられない。
■番組イチの有名キャラ“謎の老婆”シリーズ「使えないライター」
番組では「女警部・神宮寺葉子」や「三面記事太郎」といったシリーズ化されたキャラクターのエピソードが放送されていたが、最も有名なキャラといえば、全28話が作られた「謎の老婆」だろう。露天商である老婆が売っているのは、扱い方によって幸にも不幸にもなる不思議な商品。「美人のシャワー」「終わらない水」など名エピソードがあるが、今回は「使えないライター」を紹介したい。
主人公は、冴えないサラリーマンの田中一郎。上司に禁煙を命じられた彼は、老婆から「使えないライター」を買ったことでタバコを吸いたくなくなり禁煙に成功する。「使えない消しゴム」では、ミスが無くなり上司からの評価がアップする。さらに「使えない定期券」で、突然副社長に就任して大出世を果たす。どうやら「使えない」=「使う必要がなくなる」という意味なのだ。
そして調子に乗った田中は「使えない棺桶」を購入。鉄骨を避ける奇跡経験をしたことで「棺桶を使う必要がない」=「死なない」と考えた彼は、パーティー中に不死身を証明すると宣言し、崖から飛び降りた。だが、田中はそのまま浮かんでこないのだった。
棺桶を使う必要がないことは「死なない」ではなく「死体が見つからない」というオチ。ひねりの効いたラストにゾクゾクしてしまうエピソードだった。