■レイとケンシロウのピンチに自ら槍へ飛びこんだマミヤ
続いては女性キャラの中でも珍しく、果敢に戦おうとしたマミヤだ。マミヤはユダに辱めを受けた過去を持ち、そこから女を捨てて戦うことを決意した。しかし、そんな覚悟の姿勢もレイに衣服を裂かれ、「女は自分の幸せだけ考えていればいいんだ!」と諭され一蹴されてしまう。
女性であるマミヤは、武術を極めた凶暴な男たちに勝つことは難しく、牙大王との戦いで彼女の攻撃は何の意味もなさず、レイの妹のアイリとともに人質となってしまう。牙大王は二人の人質を得たことで、レイとケンシロウに殺し合いをすることを強要。そんな姿を見兼ねたマミヤは、そのピンチから脱するために自ら敵の槍に飛び込んで自害をしようとするのだった。
これまでのマミヤは、死ぬ気など一切なさそうなぐらい前向きなキャラだった。しかし、このときばかりはどうにもならないと察したのだろう。自らの意思で死を選ぶ姿には、弟のコウの姿が思い出させられる。
後にマミヤがケンシロウに惚れていたことが分かるが、この場面ですでにケンシロウへの思いがあったのかもしれない。彼女もまた、愛する人を守るため……そんな気持ちだったとも考えられる。そこに、女戦士らしい最後の覚悟を見た読者は多いのではないだろうか。
■目の前で命を断つことで愛する人に思いを伝えたトウ
最後に紹介するのは海のリハクの娘のトウだ。「トウって誰?」って思ってしまう人もいると思うが、彼女はラオウの前で自害をした女性キャラだ。
トウは幼い頃よりラオウを密かに想っており、ラオウが南斗の城を襲撃した際に南斗最後の将の甲冑をまといユリアの影武者として彼に近づいた。そして長い間溜めていた心の内を打ち明けるが、ラオウはユリア以外の女性は眼中にもなく、冷たくあしらわれたことでトウは迷うことなく死を選んだ。
胸にナイフを突き刺し、目の前で命を断つことでラオウに自らの存在を印象づけようとしたトウ……。愛深きゆえにの行動かもしれないが、急な展開すぎて驚いてしまったのは筆者だけではないはず。ここまで真っ直ぐに人を愛して、あっさりと死んだキャラはトウだけだろう。
以上3キャラを振り返ったが、ブレることのない強い意志や覚悟の原動力は、愛だということが見て分かるだろう。