■重要なのは原作への「リスペクト」?
人気俳優を起用することが必ずしもファンの支持を集めるというわけではないようで、Xでは2019年にフランスで映画化された『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』の評判も高い。
同作では主人公・冴羽獠を監督兼脚本を手がけたフランスの俳優フィリップ・ラショーが演じているが、作品全体に「リスペクトがある」「愛が伝わる」と評判なのだ。
実写化の経緯は、プロジェクトの大翼をになうフィリップが小学生の頃から『シティーハンター』の大ファンで、自ら原作者・北条司さんの事務所へ実写版の企画書を提出したことだという。しかも冴羽を演じたフィリップと、ヒロイン・槇村香を演じたエロディ・フォンタンの二人は私生活でもパートナー同士で、作中での息もぴったりだ。
Xでは「実写化は失敗も多い中、原作愛を感じる作品・ストーリーも再現性あり、エンディングは言わずもがな」というコメントが寄せられていた。
松本大洋さんの漫画を映画化した2002年公開の『ピンポン』もそのリアリティの評価が高い作品だ。
Xでは「“松本大洋のあの個性的な原作漫画を、まさかここまで見事に実写化できるとは!”と驚いた」「脚本・キャスティング・映像表現・音楽など、あらゆる要素が最高のバランスでマッチしていて実に素晴らしい!」「絶対無理!! って思ってた世界観をあの疾走感と多幸感で再現してたのすごかった」と絶賛のコメントが見られた。
このほか、自由なパロディと役者が体を張っているところが好評の『銀魂』シリーズや、鈴木亮平さんのガチすぎる役作りが世間を驚かせた『HK/変態仮面』など、多くの作品が「原作ファンも納得の実写化作品」として挙がっていた。
どの作品にも共通するのは、たとえ原作とは異なる設定が付与されたり、オリジナル展開が描かれたりしていても、漫画自体の世界観を何よりも尊重しているという点だろう。改変をする際も、それが愛あるオリジナリティに昇華できているかをファンは重要視しているようだ。