『美少女戦士セーラームーン』ダークキングダム四天王にアマゾントリオ…少女たちが夢中になった歴代シリーズのイケメン敵たちの画像
なかよしコミックス『美少女戦士セーラームーン』完全版第1巻(講談社)

 武内直子さんによる漫画『美少女戦士セーラームーン』は、変身ヒロイン漫画の金字塔ともいえる名作。『なかよし』1992年2月号から漫画連載がスタートし、同年3月からはテレビアニメも放送開始。瞬く間に女子の人気を集め、令和の現在でも日本のみならず世界中に根強いファンを抱えている作品だ。

 同作の魅力を語る上で外せないのが、キャラたちの可愛さ・かっこよさだろう。セーラー戦士たちを追い詰める敵も例外ではなく、そのビジュアルから「悪いやつらだけど好き!」という視聴者も多かったはず。今回は、そんな敵の中でも“イケメン”と人気の高かったキャラたちを振り返ってみようと思う。

■『R』に登場した圧倒的王子様

 まずは、『美少女戦士セーラームーンR』に登場したブラック・ムーン一族の王子「プリンス・デマンド」から。全身真っ白のスーツにマントを羽織り、ミディアムヘアの銀髪をなびかせる彼は、その美しいルックスも相まって敵役の中でも特に高貴なオーラを放っていた人物。

 序列でいえばワイズマンに次ぐ権力を持っており、額の「邪眼」で他人を操ることもできる。……と、戦闘能力は高いが、アニメ版では基本玉座に座って優雅にワインを飲みながら部下に指示を出していることが多かった。

 そんな彼が自ら動くのは、一目惚れしたネオ・クイーン・セレニティと彼女の過去の姿であるセーラームーンへの求愛行動を取る場面だ。しかも、そのアプローチ方法はかなり強引なもの。一途ではあるのだが、力で全てを支配したいという歪んだ感情を持っており、一族の繁栄そっちのけでセーラームーンに夜這いをかけたりキスしようとしたりと、異常なまでの執着心を見せた。

『R』では両者にひかれているが、原作ではあくまでもクイーン・セレニティへの好意がベースとなっている。

 アニメ版のラストではワイズマンからセーラームーンを助け、「愛している」の言葉を残して散った。原作ではセーラームーンたちに倒されているので、アニメ版のエンディングの方がインパクトが強いのではないだろうか。

■デマンドへの忠誠心にホロリ

『美少女戦士セーラームーンR』では、プリンス・デマンドの直系の部下であり実弟でもある「蒼のサフィール」もまた魅力的な敵だった。

 理知的で冷静、メカの知識も豊富な人物なので戦力としては申し分ないが、ワイズマンに対してはむしろ嫌悪感を持っており、兄のデマンドに忠誠を誓っている。

 ゆえに組織のために働くことを良く思っておらず、ワイズマンへの忠誠の象徴として組織の全員が付けている邪黒水晶を使ったピアスも、サフィールだけは付けていない。

 サフィールはとにかく、兄のデマンドが大好きだった。自分が支えなければという謎の使命感を持っており、デマンドの心を奪ったセーラームーンに対しても、組織に対しても憎しみを抱いている。デマンドも彼に対しては信頼を向けているので、兄弟仲は良かったのだろう。

 しかし、原作ではワイズマンに操られてデマンドに仕留められ、アニメ版では兄にワイズマンのことを忠告しようとしてワイズマンに仕留められるという悲しい最期を遂げている。

■石田彰ボイスもハマった中性的キャラで人気沸騰

『美少女戦士セーラームーン』歴代シリーズの男性敵キャラの中で、もっともキュートだったのは『セーラームーンSuperS』に登場した「フィッシュ・アイ」だろう。彼は、デッド・ムーンのアマゾネス・カルテットの術によって擬人化された、魚・虎・鷹からなる「アマゾントリオ」のメンバーの一人としてセーラー戦士の前に立ちふさがった人物。

 端正な顔立ちに水色の長髪、胸元が大きく開いた水色のもこもこ着ぐるみのようなユニフォームという、セクシーでかわいい個性的な出で立ちの“男の娘”キャラだった。

 アニメ版はより男の娘感が強くなっており、私服を着た姿はまさに女の子的で、所作も美しかった。自身も自分の美しさを理解しており、よく人間の男の子を翻弄しては相手の人間関係を壊している。そんな小悪魔的な性格も女性視聴者に愛されたポイントだろう。

 そんなフィッシュ・アイがアニメ版で初めて恋をした相手は、敵である地場衛だった。振られてしまうが、電撃的に恋に落ちた彼が持ち前の色気で衛にグイグイと迫る姿は女の子そのもの。応援したい気持ちになったのは筆者だけではないだろう。

 ちなみに初代声優を担当したのは『新世紀エヴァンゲリオン』渚カヲル役などを務める石田彰さん。フィッシュ・アイのビジュアルと石田さんの声の相性はこれ以上ないほどピッタリ。未聴の方はぜひ聞いてみてほしい。

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