■生命の痕跡を残さない死の兵器「サイクロプス」

 最後は地球連合軍が使用した戦略兵器、「サイクロプス」を紹介しよう。サイクロプスは地中に配置された巨大なアンテナ群を利用して、凄まじいマイクロ波を放射する兵器である。

 超巨大な電子レンジとも捉えられる「サイクロプス」が実際に機動した第35話「舞い降りる剣」でのシーンでは、有効範囲内にいたザフト兵が絶叫とともに肉体の内側から爆発し、内臓やら骨やらをまき散らすというシンプルにグロい描写に仕上がっていた。

 その後もMS(モビルスーツ)や逃げ惑う兵士などが敵味方問わず軒並み爆発していき、そこにはいっさいの生命が存在し得ない焼け野原が誕生するのである。

 とにかく「グロい」の一言に尽きるこのシーン。単にロボットが好きで『ガンダム』を楽しんでいた子どもたちには、トラウマになりかねないほどつらい描写だったのではないだろうか。大人としても残酷極まりないこのシーンを見るたびに、権力者の一存によって使用される非人道兵器がこの世から撲滅される日が来ることを願うばかりである。

 

 今回紹介したような戦争の残酷さを視聴者に真っ向からぶつけてくるシーンが多いところも、『SEED』の魅力の一つではないだろうか。

 関連する作品は非常に多く、続編の『DESTINY』や、外伝の『ASTRAY』『STARGAZER』なども含めれば語るに絶えないシリーズである。そのどれもファンの間で賛否が分かれるシリーズではあるが、両論あってこそ作品により深みが出るというもの。どのような内容であろうとさらにその世界観が深まっていくことを期待して、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開を心待ちにしよう。

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