『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の放送終了からおよそ18年。ファン待望となる『SEED』シリーズの新作映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、1月26日より公開される。公開に向け、アニメの内容を目下復習中という『SEED』ファンも多いことだろう。
今回は、意外にも残酷な描写が多かったシリーズ1作目の『機動戦士ガンダムSEED』より、記憶に残ってしまうようなトラウマシーンをいくつか抜粋して紹介しようと思う。
■平等に与えられる「戦争」の残酷さ
まずは、第13話「宇宙に降る星」で描かれたトラウマシーンを紹介しよう。
第12話にて、アークエンジェルから脱出するためシャトルに乗り込む避難民を見送るキラ・ヤマトに向けて、少女・エルが折り紙で作った一輪の花を差し出す。「今まで守ってくれてありがとう!」。そんなエルの言葉を受け、どこか救われたように笑みをこぼすキラ。
その後、第13話にて追撃してきたザフト軍に応戦するためキラは出撃するのだが、大気圏降下中の避難民のシャトルが目の前で撃墜されてしまうのだ。
ビームに貫かれた機体の中で母親に抱きかかえられる少女の様子が描かれているのだが、よく見ると、機体の爆発により少女の首から上が吹き飛んでしまっている。純朴な少女の死だけでも十分にトラウマとなりうる要素ではあるが、実は詳細な死の描写までも描いていた制作側の容赦のなさには、視聴者の思考も停止してしまうというものだ。
希望とともに脱出した民間人が戦火に巻き込まれてしまう戦争の残酷さを、まざまざと見せつけられるトラウマシーンの一つである。
■その死がアスランの心に憎しみを宿す
続いては、のちに作中にて何度も回想されることになるニコルの死を紹介したい。
アスラン・ザラに反発するイザーク・ジュールとディアッカ・エルスマンとは対照的に、優しくアスランに寄り添うニコル・アマルフィ。親友のキラ・ヤマトと戦わなければならない残酷な現実に焦燥感を募らせていたアスランにとって、ニコルの存在は心の支えになっていた。
第29話「さだめの楔」にて。オーブ近海の島で再びキラと対峙していると、ニコルがアスラン救援のためにキラへ奇襲を仕掛ける。しかし対峙した際、キラに斬られてしまい、コックピットごと胴体が真っ二つになってしまうのである。最後までアスランを気遣う優しさを見せるが、その後パイロットスーツ内が出血で溢れ、機体ごと無惨に爆散してしまう。
屈指の誠実さと優しさを備えたニコルの死はあまりにショッキングで、アスランの心に宿ったキラへの憎しみは、見るに堪えない死闘へとその後発展していくのである。こうした憎しみの連鎖がさらなる戦いを生んでしまうのだと痛感させられる、悲しきトラウマシーンだ。