■魔界の鬼殺しで強くなる酎
2023年にNetflixでの実写ドラマも配信された冨樫義博氏による『幽☆遊☆白書』にも酎という酔拳使いが登場する。酎は六遊怪チームのひとりで、酔拳を昇華させている珍しいキャラである。
普段から酒を飲んで常に酔っているのも、酔拳を使用するためだ。周りの人間は酒臭くて困っているようだが……。そして、幽助との対決の際には酔拳の極意を見せることになる。魔界の重濃酒鬼殺しを飲むと、酎の妖力が格段に上がっていた。動きでは酔った仕草を利用するのはそこまで見られなかったので、酒を飲むことで戦力を上げるタイプなのかもしれない。
酎と幽助の力はほぼ互角で、最終局面では至近距離での殴り合いをする。まるで我慢比べのような形となり、幽助が頭突きで勝利となった。酎が酔拳の良さを出すことはほとんどなかったが、オリジナル酔拳というところで見れば、これもアリなのかもしれない。
■天性の酔拳の才能を持ったロック・リー
最後は、岸本斉史氏による『NARUTO-ナルト-』のロック・リーだ。リーは作中でもガイと並ぶ体術のスペシャリストである。
忍術を使えないことからも、いろんな体術を習得して他の忍を脅かす存在となっていた。サスケ奪還任務では音の五人衆の中でも特に強いとされる君麻呂を相手に戦っており、その際に酔拳を初披露することになるが、彼は酔拳の練習を事前にしていたわけではない。戦いの合間に治療薬として酒を間違って飲み、そこから酔っ払ったことで暴走してしまったのだった。
ガイいわく、リーは天性の酔拳の使い手のようだが、分かりやすく言うとただの酒乱……。しかし、酔ったリーの動きは洗礼されたものになり、君麻呂は動きを読むことが全くできなくなった。
リーの酔拳はトリッキーだが、その分だけ踏ん張りが効かず攻撃が軽い気がする。その証拠に君麻呂もリーから受けたダメージはほとんどなかった。それでも付け焼き刃にしては上出来といえる酔拳だと思う。
酔拳は発想としては面白い武術ではあるが、実戦で使うとなるとかなり難しい。酔ったフリをして戦うということもあるが、実際に飲んでしまうと冷静な判断も失われてしまう……。そして、不規則な動きも正統派の戦い方をする相手には、通用しないケースが多い。